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魔術師は現代社会に殺される  作者: 軌跡
第二章 弱者の居場所
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二つの病、二つの現実 12

「!? 何が――」


 まだ、口を動かすタイミングではない。

 何故か。

 魔物が、二人の頭上から降ってきたのだ。


「え――」


 角利は動けない。驚きと、それに勝って恐怖感が手足を縫いつけている。

 代わりに動く、青い閃光。

 快音と共に、急上昇したフェイが魔物を突き飛ばした音だった。

 無論、それで終わる彼らではない。宙で一回転した後、何事もなかったかのように着地する。

 魔物の特徴は、まず鍛え抜かれた体躯たいくにあった。

 武骨な鎧のような筋肉。身長はざっと三メートルほどで、昼間のゴーレムには及ばずとも巨体だった。

 顔はイノシシに近い。口からは収まりきらない鋭利な牙が伸びている。

 正式名称を言うなら、オーク。

 極めて凶暴な、代表的な幻獣――いや、魔物の一匹だ。

 大衆から悲鳴があふれる。院内も同じような事態におちいっているのか、混乱した人々を次々に吐き出していた。

 オークの狙いは必然、彼らの側へと変更される。


「っ――!」


 それをフェイは、神速の一閃で制していた。

 切り落される腕。怒りと悲鳴の混じった咆哮が響き、残った拳で少女の矮躯を打とうとする。

 だが、寸前で止まった。

 いつの間にかフェイの手にした盾が、腰の入った一撃を防いでいる。

 続くのは見応えのない末路だけ。


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