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魔術師は現代社会に殺される  作者: 軌跡
第二章 弱者の居場所
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二つの病、二つの現実 11

 苦虫を噛み殺したように、角利は沈黙してしまった。

 生存への諦観ていかん――かといって、ヴィヴィアを責めるのは間違いだろう。暴走症に治療法が存在しないのは、さきほど耳にしたばかりである。彼女の判断は合理的だ。

 納得できない心を表にしても、お節介の域を出ない。

 角利にどれだけ説得力があろうと、結局は個人的な感情だ。姉妹の絆に割って入るなんて、無粋でしかない。


「……本当は、この病院にも入る予定はなかったんです。御法さんにも迷惑をかけるから、と」


「別に気にしないと思うけどな……」


「しかし入院費用の大半は彼です。私もギルド間でバイトじみたことはしていますが、大した収入ではありませんし」


 自分を責めているのか、言い終えた彼女には溜め息があった。

 角利は何一つ反論できない。……せめて綺麗事で誤魔化せるぐらい、口達者であれば良かったんだが。


「……おかしいですよね、私。弱い魔術師は不要だと言っておきながら、死にかけの少女を守りたがるなんて」


「……」


 正面から意見をぶつけられず、角利は沈黙するしかない。

 直後だった。

 病院、最上階の窓ガラスが粉砕されたのは。

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