二つの病、二つの現実 7
「……もうこの話はお終いにしましょう。辛くなるだけで――」
す、と言葉が続いた直後だった。
後ろから看護師が、二人を必死に呼び止めたのは。
突然の出来事に肩を震わせながらも、直ぐにフェイが対応へ動く。どうも顔見知りらしく、名前を気軽に呼んでいた。
「どうかなさったんですか?」
「い、妹さんの容態が、急激に悪化して……!」
「っ!」
フェイは看護師に一言も告げず、全速力で病院の中へと戻っていく。
手持ち無沙汰になる角利だったが、やってきた看護師に従って同じく病院へ。エレベーターを使い四階へと急行する。
病室までは一直線だ。慌しい雰囲気への注目を振り切って、ヴィヴィア・モルガン、と名札の入った部屋へ。
いたのは担当医らしき男性と、落ち着かない後ろ姿のフェイ。
「ど、どうなってるんだ?」
「……暴走症が進んでいます。いえ、厳密には魔力の吸収ですね。外部からの手段で補充しないと、このままでは……」
衰弱死。そんな言葉を、フェイは必死に飲み込もうとしていた。
なら直ぐに補充すべきでは――ベッドから動こうとしない担当医へ、素人なりの指摘をぶつけたくなる。
「――ここに私たちがいても、邪魔なだけです。ホールに移動しましょう」
「あ、ああ」