二つの病、二つの現実 2
「ヴィヴィアを見てくれている先生も、困っていると仰っていました。最近は薬草の採取量も減っているそうで」
「そりゃまた、何で?」
「土地が開拓されている副作用だそうです。自然界全体が天然の状態を保てていないため、総合的に落ちているんだとか」
一日二日で解決できる問題ではなさそうだ。
時代の流れ――と諦めるのが一番だろうが、携わっている人々はそうもいかない。個人的にも、何かしらの解決策を期待したいところだ。それこそ科学の出番だろうし。
呼吸が落ち着き始めて、よし、と角利は膝に力を入れる。
「じゃあ俺は先に帰る。フェイはヴィヴィアとじっくり話して来いよ」
「いえ、私もご一緒します。妹とはいつでも話せますから、会長を監視する方が重要です」
「か、監視って……」
そんなに信用いかないのか。
ふと、ヴィヴィアの台詞を思い出す。フェイは警戒心が強く、何かと孤立しがちなんだとか。……なのにどうして、彼女はこんなにも世話をやいてくれるんだろう? 性格だからか?
言われた通り、祖父と似ているから、ではあるかもしれない。だとしたら光栄で、直に評価を聞きたくもある。
差し出される細い指。握ったら柔らかいんだろうな、と歳相応の感想が沸いてきた。