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魔術師は現代社会に殺される  作者: 軌跡
第二章 弱者の居場所
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二つの病、二つの現実 1

「帰るって、どうしてですか?」


 待合室の一角。出来るだけ人目に入らない場所で、どうしてもだ、と角利は真っ向から反論した。

 医者が聞けば、その無謀ぶりに怒りさえ感じるだろう。ましてや現在地が病院なのだ。これ幸いと世話になるのが、世間の常識でもある。

 しかし角利には、個人的な事情があった。


「これまで魔術師の治療は何度も受けてきた。でも、逆に不快感が増すだけでな。ああ……思い出しただけで気分が悪い」


「で、でしたら普通のお医者様に頼みましょう。ここなら、専門の方も――」


「いや、それは無駄だろ」


 ややあって、フェイも指摘された内容に気がついた。


「……魔術師に一般人の治療は、通用しないんでしたね」


「面倒な仕組みだよなあ。何だっけ、概念的に保護されてるとかだったか?」


 魔術師の間で原因解明は進められているそうだが、決定的な証拠は出ていない。

 このため自分たちの治療は魔術、薬草などを用いるのが基本となっている。薬草は神話に登場した――という触れ込みの代物だ。魔力は検知されているそうだが、実際に同じ効果があるかどうかは分からない。

 また、心理療法だろうと目ぼしい効果はないんだとか。近年に推奨すいしょうされたPTSDの治療も、角利にとっては他人事である。

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