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祖父と孫、下心 8
「本題に移ろう。お主が欲しいのは、ギルドの正式な申請書だな?」
「ええ、まあ。役所に行ってもよかったんですけど、せっかくなのでこっちに」
御法はまた厳しい顔。もし口を開けば、直ぐさま責めるような台詞が飛んでくるだろう。
彼はギルド自体を嫌っている。
にも関わらず対応を求めたのは、角利なりの甘えでしかない。孫にとって、祖父は祖父でしかなかったのだ。少しぐらいの我儘も――と、下心が出て当然だろう。ご理解ください。
御法は嘆息しながら席を立つ。執務用の机から、一つの封筒を取り出すために。
封筒の表には、四治会用、とマジックで記されていた。
彼はそれを乱雑に、投げ捨てるように角利へ渡す。
「そら、受け取れ」
「ど、どうも。……えっとそれで、個人的な支援なんですけど――」
「角利よ」
威嚇するような胴間声。部外者をキープしていたフェイも、微かに身体を震わせた。
「前にも言ったが、ワシは仕事の紹介ぐらいしか行なわん。根本的な問題は自分で解決しろ」
「は、はいっ」
このように。
孫の下心は、木っ端みじんに砕け散ったのだった。