祖父と孫、下心 7
「何かあったんスか?」
「さきほど、テュポーンとかいうギルドから使者が来てな。お前を攻撃したことを必死に詫びておった」
「それは、つまり……」
あの青年のことだろう。角利と御法の関係を知って詫びたのか、単にセイメイの学生であることに考慮したのか。
どちらでも構わない。角利個人としては、大手との衝突が避けられただけで行幸だ。というかあの青年、結局生きてたのか。面白くない。
そんな内心を吐息で表現するころ、やはり御法は不機嫌なまま。
相当お気に召さなかったんだろう。こりゃあ該当のギルドに、優秀な学生を紹介しないとかありそうだ。
「まったく、頭を何度も何度も下げおって。誇りを持たん魔術師など消えてしまえばいい。駒は駒らしくしていろ」
などど。
教育機関のトップにあるまじき暴言を、彼は生徒の前で漏らしている。
そう、御法もフェイと同じ古い思想の持ち主だ。実は角利も、孫のころに散々聞かされた経緯がある。父――御法の息子は、文明社会と寄り添う魔術師だったが。
角利はフェイへと一瞥を向ける。珍しい同胞の出現だ、多分喜んでいるんだろう。
しかし実際のところは、複雑な顔付きをしていた。
どうしてだろう? 御法の発言はフェイが言っていることと変わらない。納得こそすれ、否定や困惑などはありえない筈だ。
「――まあ、この話はよい」
気付かれないように観察していた角利だが、祖父の一言で視線を戻す。