祖父と孫、下心 1
学園の授業は、とっくの昔に終わっていた。
幸いにも欠席扱いにはなっていない。由利音がしっかり連絡してくれたそうだし、学校の方でも魔物・ゴーレムの出現は話題になっていた。それが正体不明の魔術師によって倒された、とも。
「……どうやら、学園の方から手が回ったようですね」
階段を角利と一緒に昇る、フェイの言だった。
返答には頷きと納得がある。学園のトップは四治会とも深い縁を持っている人物だ。国の介入を防ぐ権力こそないが、近辺の出来事であれば誤魔化してくれる。
で、現在。二人はその学長のところへ向かっていた。
魔術師育成学園・セイメイは西と東、中央の三つの校舎で作られている。角利達が歩いているのは中央校舎。最上階である四階へ上っていく。
周りに生徒の姿はない。教員さえ怪しいほどで、すれ違うのは研究者といった風の人達だ。もっとも羽織っているのは、白衣ではなくフード付きの黒いローブ。
理由は単純だ。魔術師育成学園の関係者は、基本として黒いローブを羽織る。生徒も教師も、専属している学者も同じ。つまりは制服の一部である。
所属によって色が異なるため、黒は学園に限定された制服だ。さっき襲ってきた青年が、紅い制服だったように。