騒がしい女 4
……なんだか、維持を張っているようにしか見えない。交渉のチャンスはまだあるんじゃないか? あんな古い思想では、適したギルドが見つかるとも思えないし。
だが静止の言葉を放つより、彼女が出入り口に手をかける方が早い。
「――?」
ドアは不思議と動かなかった。
別に鍵が掛かっているわけじゃない。が、動かない。フェイが力を加える度に少し揺れる程度だった。
物音と共に映る廊下には、一瞬だが由利音の服装がうつる。……まさかあの人、人力でドアを塞いでるのか? なんて幼稚な。
「くっ――!」
負けじとフェイも意地を張るが、向こうも随分と気合が入っている。ドアの揺れは逆に小さくなっていった。
魔術を使っていない時は至って普通の少女なんだろう。慣れない運動に、肩を使って呼吸している。
「な、なあ」
「っ、何か!?」
完全に八つ当たりを含めた一瞥だった。
フェイは助けを呼ぶでも罵倒するでもなく、再び力任せに開けようとする。いっそ魔術で扉ごと吹き飛ばしたらどうだろうか。由利音だって諦めるだろうに。
しかし彼女は使おうとしない。自力で開けることに意義を見出しているのか?
それでも、試したところで変化はなく。
ついにあきらめたフェイは、角利のところへ戻ってきた。