騒がしい女 3
「俺が動ければ、あそこで君が盾になる必要はなかったろ。だから、謝る」
「な、何故そうなるんです。……事情は由利音さんから聞きました。貴方が私と戦ったこと自体、勇気ある行動だったと思います。無理に成果を求めても、自分が苦しむだけではありませんか?」
「だろうな。けど、あそこで引いちゃ駄目だったんだ」
過去を克服したい気持ちは、事件の後からずっとある。
しかし何を試そうと、心に拒否されるのが現実だった。無理をしたって自分が傷付くなんて、もう身を持って知っている。
でも前に進みたい。
だったら少しぐらいの無茶は覚悟するしかない。……このままじゃ、守りたいモノをまた捨てなければならなくなる。
「――ギルドの件ですが」
らしくなく、フェイは視線をそらして語り出した。角利を直視するのが毒だと言わんばかりに。
「申し訳ありませんが、無かったことにして頂けますでしょうか? もちろん、四治会への干渉は今後行いません。ですから――」
「そんな、頼むよ。フェイがいてくれれば百人力だ。群れてる魔術師が嫌いなんだったら、それこそウチは持って来いだろ?」
「いいえ、お断りします。メンバーを探すなら、それこそ由利音さんを誘ってはどうですか?」
「おい、待って――」
言い終える前に、フェイは背中を向けていた。