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魔術師は現代社会に殺される  作者: 軌跡
第一章 EとS
33/168

傷の話 3

「私は当時学生でね、ギルドの手伝いと称して中に入ったんだけど――ひどかった。血の海って本当にあるんだー、って馬鹿らしく納得したぐらい。どうも魔物に襲撃されたらしくて、四治会のメンバーは全員やられてた」


「ですが、会長は……」


「多分、皆が守ってくれたんだろうね。でもその日から彼、魔術とか魔物とか駄目になっちゃってさ。PTSD……ようはトラウマかな。だから学園でも、実技に参加できなくて」


「しかし先ほど、魔術を行使しましたよ?」


「敵と一対一なら平気みたいでね。でもほら、学園の実技授業って集団で、魔物を相手にじゃない? 人前で使うのは駄目って言うか、そもそも人混みが苦手らしくて」


「……」


 ならあの時。ギルドの青年をかばったのは、無茶以外に何でもなかったのだ。

 酷いことを強要させてしまった。ひょっとしたら彼は、目の前で両親を亡くしているかもしれないのに。それを思い起こさせる行為を、自分は行わせてしまった。

 今更の罪悪感に胸が軋む。

 角利はどうしようもなく強くて、フェイはどうしようもなく弱かった。自分にも事情がある? 何て馬鹿げた言い訳だろう。過去に立ち向かった彼の方が、よっぽど痛い思いをしてる。後で、きちんと謝罪しなければならない。


「でさ、一つ頼みたいんだけど」


「はい?」


「……角利君の面倒、出来る限りでいいから見てやってくれない?」


「え――」


 少し意外な、けれど必然にも感じるような。

 柔らかい口調のままで、由利音は話を続けていく。

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