魔剣乱舞 8
「!?」
予期しない乱入者。手は成人男性一人をゆうに掴める大きさで、十メートル以上の巨体を思わせる。
山を作る地面。その間にフェイは魔剣を編みきり、再戦の用意を整える。
魔物だ。
起き上がるのは上半身だけ。全身が岩で出来た怪物――ゴーレム。一般人が目撃すれば、間違いなくパニックに陥る脅威だった。
もっとも、この場には魔術師が二人いる。方や評価S、方やそれを追い詰めた例外者。
どう考えても、天秤の傾きは明確で――
「あ、あ、ああ……」
「会長!?」
現実が直視できない。
全身に不快感が沸き上がる。魔物、なんで? どうして? 何一つ悪いことはしなかったのに、どうしてあんな悲劇が――
「会長!!」
賢明に呼び掛ける声も、平手を振り被るゴーレムにも気付けない。
だから。
彼女が盾になった時は、本当に驚いた。
「ふ、フェイ!?」
角利を突き飛ばし、犠牲となった少女に反応はない。
混乱と恐怖に飲まれ、一気に力を解放する。
「あああぁぁぁあああっ!!」
連打だった。剣の爆撃で、ゴーレムを木っ端みじんに吹き飛ばす。
やつは巨躯で動きが遅い。フェイを攻撃した直後とあって、防御の構えも取れやしない。
岩がかけらとなって次々に吹き飛ぶ。
描いた通りに、ゴーレムは跡形も無くなっていた。
「――」
安心感が沸いた所為か、本当に体力の限界だったのか。
誰かの声を聞きながら、角利の意識は落ちていった。