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魔剣乱舞 6
もう合図はない。
主の決意を讃え、剣の山が殺到する――!
「くっ……!」
最初の数本を弾くフェイだが、真っ向勝負は危険と判断したのだろう。爆撃にも等しい鉄の豪雨、隙間をぬうように突っ走る。
その軌道は、角利からすれば手の平で踊る人形も同じ。
視線がぶつかる。
力の激突も、直後だった。
しかし鍔迫りあいは一瞬。角利は攻撃の手を緩めず、発射した剣でフェイを払う。
更なる追撃は自ら。
射撃の隙を補填する形で、踊るような剣戟が展開される。
「っ、貴方……!」
恨み、妬みさえこもったフェイの瞳。
魔術を使用しているため光を蓄えたそれは、糾弾に相応しい眼差しだった。
「どういうことです!? たかだか評価Eの生徒が――」
「古傷でね! 一対一じゃないとロクに魔術も使えないんだよ!」
「そんな、馬鹿げた話が――っ!?」
話している間にも、攻勢は動き続ける。
後退と回避を繰り返し、どうにか戦闘を続けるフェイ。が、誰が見ても防戦一方、趨勢は角利に傾いている。