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魔剣乱舞 3
「行くぞ!」
青年に怒鳴りつけて、覚束ない足取りのまま走り出す。
選ぶのはやはり、狭い路地裏だ。この向こうには広い空き地があった筈。学園に隣接している場所だし、助けを求めるには持って来いだ。
無論、その前に撒ければ一番だが――
「くそっ、しつこい……!」
まともな食事を取ってないだろうに、ここぞとばかりに全力で追ってくる。
角利の足は反対に重くなっていた。ついてきている青年の方が、先導役には持って来いなぐらい。
ちょうど、正面には左右へ別れた道。まだ敵の姿は見えていない。
だったら。
「よし、二手に分かれるぞ」
「き、貴様っ! 僕を一人にするのか!?」
「ああそうだ」
いい加減ストレスの限界である。本当はそんな暇もないのだが、角利は青年の胸倉を掴んで持ち上げた。
「俺はあんた自身が死のうがどうでもいい。仲間になるって宣言したやつに、人殺しをさせるのが嫌なんだよ。単なる我儘さ」
「青ざめた顔で何を……!」
「だったら今直ぐ逃げるんだな。俺も手一杯だぞ」
「っ……」
さすがに理解力はあるらしい。綺麗さっぱり、別々の道へ舵を取る。