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魔術師は現代社会に殺される  作者: 軌跡
第一章 EとS
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魔剣乱舞 2

「都市の開発から置き去りにされた場所とはいえ、容赦ねえな……」


「と、とにかく逃げるとしよう。人目の多いところなら襲われたりしないだろうし、これだけの音だからね。既に大勢の方が気付いている筈で――」


「ええ、敵ッスけどね」


 途端、魔術を発動させた浮浪者たちが二人を囲む。

 男達の血走った目。青年は微かに悲鳴を漏らし、角利の背中へ身を寄せた。


「な、な、なんだお前達は!? 僕は雇い主だぞ!?」


「アンタ金あるんでしょう? 誘拐して、身代金でも要求しようって魂胆じゃないッスか?」


「な、何ぃ!?」


 彼は案の定パニックに陥った。いい加減ストレスが限界に差し掛かってくるが、ここで見捨てて得はない。浮浪者の手に渡るにしても、フェイの追跡から逃れるなんて不可能だ。

 青年は魔術を発動させる気構えではない。貧弱すぎて笑えてくるが、さっきの一撃で使い切ったんだろう。

 一方の角利にも、全員を蹴散けちらせる余力はない。

 考えている間にも、敵は徐々に包囲を縮めていった。獲物へ飛び掛かるタイミングを、今か今かと待ち受けて。

 来る。


「っ!」


 一か八かの反撃。

 縦に軌跡きせきを描く漆黒の魔剣は、まとった魔力のすべてを衝撃に変換。

 弾き飛ばす。

 生々しい打撃音、彼らの嗚咽おえつが聞こえてくる。――それだけで目眩が、過去の何かが、衝動染みた暴力となって襲ってきた。

 掻き消してくれるのは激情だけ。

 振り返りながらの一閃で、更に浮浪者達――魔術師どもを吹き飛ばす。

 だが安心はやってこない。潜んでいた連中が、まだいる。まるで巣から湧き出てくるアリみたいだ。


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