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魔術師は現代社会に殺される  作者: 軌跡
第一章 EとS
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満身創痍 5

「……ようやくその気になりましたか」


 至近距離を危険と断じたらしく、彼女は跳躍して距離を取る。

 事実重い腰を、ゆっくりと上げる角利。背後には青年が逃げたであろう路地裏が。ここは絶対に通せない。

 彼が死ぬのは勝手だが、誰かに殺させるのは認められない。

 幽鬼にでも間違われそうな眼光。失神の一歩手前で、少女達の壁になる。


「う――」


 限界は直ぐ訪れた。

 膝から折れた角利は、全身の震えに足掻あがくのみ。……くそっ、情けない。魔剣を出した程度でこのザマとは。


「既に満身創痍でしたか。――まったく」


 真意の分からない嘆息を零し、フェイがこちらに近付いてくる。

 この瞬間、確かに角利は諦めた。

 やっぱり、自分には無理だったと。

 しかし一人、戦力になる存在が残っていた。


xifos()!」


 青年の声が、フェイの進行をおさえこむ。

 その隙を狙い、青年は角利の腕を掴んだ。頭上にはフェイへ降り注ぐ剣の群れ。魔剣と同様、武装召喚と呼ばれる魔術の一環だ。

 鎧には掠り傷も与えられないが、時間を稼ぐ点では十分。それ以上の成果なんて望むもんじゃない。

 選ぶ逃走ルートは建物と建物の隙間。

 希望へ縋るように、二人は裏手へと進んでいく。

 青年に助けられた――そんな、疑いたくなる結末と共に。


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