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命尽くし、再燃 7
竜の手で魔剣を操り、反撃も許さず蹴散らした。いや、もはや攻撃ですらない。魔物と化した片腕は、それだけで武器として通用する。
人を殺してしまう――その危機感さえあったかどうか。頭の中にいる別人が、倒せとひたすら叫んでいる。
病魔との距離。この声が耳元まで近付いた時が、角利の最後となるだろう。
屋上のドアをぶち破る。
一人の少女が、角利を待ち受けていた。
「ふむ、暴走症によって力が増したか。こうも早くやってくるとは」
「いいのか? ジジイ。俺の相手なんかして」
「ワシは掃除が好きでな。一度始めると、終わるまで止められんのだ」
「そりゃあまた、ご苦労なことで」
主人を貶されたと思ったのか、御法の背後にいるドラゴンが咆える。
最大の脅威をじっと観察する角利。しかし意外にも、敵はドラゴンを空へと戻した。