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命尽くし、再燃 4
「ここは政府で保護してる病院だから、ひとまず安心していいよ。一応、症状の進行を抑える薬草はあったし」
「驚きッスね。てっきり、疑わしきは殺されると思ったんですが」
「さすがにそこまでは。虐殺、って形になったら、一般人の心証も悪いしね。しばらくは御法さんも手を出してこないと思うよ」
「だといいんスけど……」
予断は許されない。ドラゴンなんて超兵器を彼は保有している。その気になれば正面から攻めてくるだろう。
――諦めた方がいい。
冷静な自分はそう解答する。生きることを諦めろ。希望を抱いたって、等しい量の絶望を味わうだけだ。
生き物は遅かれ速かれ死ぬ。今回は単に、それがちょっと早くやってきただけで。
「どうするの?」
質問というより、試すような言葉。
生きるか死ぬか。天秤は決定的に覆せない。感染源であるフェイが死亡した以上、あとは御法が被害を広げるかどうかの問題だ。そして角利は、祖父に対抗する手段を持たない。
死に場所へ向かうか、足を止めるか。
判別はその二つを比喩している。どちらも絶望。何かを生み出すことも、残すこともない。