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命尽くし、再燃 1
騒がしい。
そう思って目蓋を開いても、光は半分しか入ってこなかった。どれだけ動いても同じで、左側の光景がバッサリ途絶えている。
第一、ここはどこなのか。
全身の感触に意識を配ってみると、ベッドで横になっているのが分かる。左目以外に違和感がないのも、実際を兼ねて確認できた。
天井は白い。木材ではなくタイル張りで、行き過ぎた白さが無機質な感想さえ抱かせる。
ベッドの周囲にはカーテン。人の話し声は聞こえず、慌しい足音だけが過ぎていく。
どうも病院らしい。
暴走症を患っている魔術師を入れるなんて、随分と大胆な病院だ。ダイナマイトを持ち込むようなものだろうに。……あるいは、暴走症を専門に扱う病院なのか。
角利は静かに記憶の糸を辿る。――フェイが死んで、御法には手も足も出なかった。ドラゴンの一撃で吹き飛ばされた筈だ。
意識を失ったのだろう、回想はそこで途切れている。ならここ、実はあの世だったりするんだろうか? 天国なのか地獄なのか、煉獄なのかはサッパリだが。
しかしカーテンの外から聞こえる喧騒は、どう考えても人の世界。