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近付く終幕 22
それでも感情は発散を求めた。が、どれだけ懸命に腕を立てても、壊れた身体は悲鳴しか出してくれない。
所在なげに息を零す御法。戦いの勝者というより、道化に飽いた暴君のようだ。
「貴様はやはり不遜の孫だな。もう少し才能のある男かと思っていたが」
「何だと……!?」
「親と仲間を殺す機会をやった時もそうだ。あの頃から、お前の弱さは際立っておった」
御法は、鼻で笑うことしかしない。
四治事件の、引き金を引いたことを。
「これ以上の生き恥を晒す前に死んでおけ。それが貴様の出来る、唯一の貢献よ」
「っ――」
ドラゴンの口が光る。ワイバーンが放った炎など比較にならない、圧倒的な魔力の渦が。
「さらばだ」
光が視界を埋める。
吹き飛ばされる最後の瞬間まで、祖父を睨むことが精一杯だった。