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近付く終幕 4
角利は寸前、後退することで切先をかわした。反撃に撃たれる魔剣。無駄だと分かっていても、今はこの方法でしか抵抗できない。
案の定、御法は同じように無力化した。神速の太刀筋は目撃さえ許さない。
「はっ、は――」
身体は必死に心臓を動かし、酸素を取り込み続けている。
なら戦える。
絶対に、逃がすなんて出来っこない……!
「おお――!」
二度目の剣戟が響く。御法は一歩も退かない。角利も、前へ一切進めていない。実力の差があり過ぎる。
だが最低限。
注意を引くぐらいの役割は、果たせるというものだ。
「ぬ!?」
ドラゴンが揺れる。叫び声を上げている辺り、何かに激突したのだろう。
由利音だ。彼女がドラゴンの横腹を打撃し、怯ませた。
下から上昇する箒の後ろには、金髪の少女が乗っている。
「ふん、それがどうした? 貴様らが取り戻したところで、その女が世間にとって邪魔なのは変わらん。ワシの元へいる以上に、惨たらしい結末を迎えるやもしれんぞ?」
「かもな。でも爺さん言ったじゃねえか。――挑戦、無謀、大いに結構、ってな」