近付く終幕 2
慣れ合いはそこで終わった。御法が魔剣を手に、角利も自分へ命じるように合言葉を口にする。……手足の震えは誤魔化しようがなく、非道徳へのまっとうな恐怖を教えてくれた。
本当なら切り捨てたい、人間としての倫理観。でなければこの敵には勝てない。
しかし彼は、嘲笑うことも、加減もせず。
「行くぞ」
まさしく突風となって、彼我の間合いを掻き消した。
背後に固定されている魔剣の一本を手に、天空の剣戟が幕を開ける。
切れ味、強度、魔剣単体のスペックは御法が上だ。三度も刃をぶつける頃には、角利の魔剣が使い物にならなくなっている。代わりはいくらでも用意できるが、このままでは……!
「ふんっ!」
鎧袖一触。新しく出した魔剣も、ただの一撃で粉砕される。
袈裟の一閃。
肩から腰にかけて、容赦のない一撃が角利を襲った。
――しかし、振り抜いた直後の隙はある。
「行け……!」
展開している魔剣を、一斉に叩き付けた。
負傷を受けながらの反撃だが、魔力は徹底的に込めている。ゴーレムを粉砕した時、いやそれ以上の密度で、魔剣の壁は御法へと殺到した。
かわせない。かわせるわけがない。
だが。
「ふむ」
これだけか? と言わんばかりのすまし顔で。
一瞬のうちに、すべて叩き落とした。