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近付く終幕 1
直後、壁のような突風に襲われる。
前方を飛行するドラゴンとの距離はあっという間になくなった。御法の輪郭もはっきりと見てとれる。
更に加速し、追いぬく二人。ドラゴンは今のところ、抵抗する気配がない。一瞥すら向けておらず、角利たちのことはハエとしか思っていないんだろう。
箒は徐々に減速。ドラゴンと並走して、行動する機会を探っている。
「降りるッスね」
「え? この中で!?」
取り付く絶好のチャンスじゃないか。
返ってくる衝撃を覚悟して、角利は迷いなく飛び降りる。
着地に応じて、肉体は覚えている通りの受け身を取った。身体能力も魔術で強化している。見た目と同等の衝撃はない。
「やはり来たか」
風は冷えた刃となって、孫と祖父の声を運んでいく。
「挑戦、無謀、おおいに結構。そうでなければワシも戦いようがない」
「相手が雑魚だとしても、か?」
「むろん、だからこそだ。意思があるのならばワシは応えよう。他人を足に使ったとはいえ、貴様は身一つで対峙しておる。――褒めておるのだ、よろこべ」
「……」