133/168
真実 14
「いやはや、危機一髪だねえ。ドラゴンが校舎に突撃するもんだから、ビックリだよ」
「外はどうなってるんですか? 爺さんの言う通りなら、町にも魔物が――」
「出てるよ。ほら、下」
位置はちょうど市街地。人々の悲鳴も、冷たい空気の中ではよく響く。
その数は、もはや軍勢だった。
逃げているのはほとんど一般人だろう。中には無事な魔術師もいるが、盾になろうとする無謀な者はいない。いたところで数秒後には飲まれるだけだ。
これで一体、どれだけの人が生き残るのか。
そもそも事態を収束させる術はあるのだろうか? 封鎖するにしたって、数百、数千という数の魔物である。下手なバリケードは物理的に突破されるだけだ。
「どうする? 角利君」
ドラゴンを追うか、逃げる人々に手を差し伸べるか。
「ドラゴンを追う方向で。町の方は、適任に委ねるしかないッスね」
「了解! じゃ、しっかり掴まっててよ!」
エンジンの音が代わる。
由利音は姿勢を低く、角利も同じように頭を下げた。