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真実 13
自分の不甲斐なさが身に染みる。が、歯を食い縛っている暇はない。腹をすかしたオーク達が、魔力を求めて群がってくる。
助けは来ない。そもそも身体が満足に動かず、抵抗さえ許されない。
勝ちたいのに。
あの男を、何が何でも倒したいのに……!
「おおっと、退いたどいたー!」
「!?」
オークの群れを、真横から来た何かが打撃する。
箒だった。フェイと同じように、バイクのようなデザインでカスタマイズされている。
「由利音さん……!」
「ほい、掴まって!」
痛みさえ感じる握力で、由利音は一気に引き上げた。そのまま勢いに任せて、後部座席へと角利を放る。
本当に女かと疑いたくなるが、助けてもらえたのは幸運だった。このままドラゴンを追うことだって出来るかもしれない。