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真実 12
「っ、フェイ!」
「止めろ」
呼吸同然に放たれた命令。
オークと化した生徒が、迷わず角利を攻撃した。
攻撃までの速さ、死角という位置もあって、少しの防御も許されない。コンクリートの上を小石のように地面を跳ねるだけだ。
立ち上がったところで、待っているのは六十体に及ぶオークの群れ。例え万全な状態であっても、勝てる見込みはないに等しい。
「情けない、情けないな、角利。お主、ほんとうにワシの孫か?」
「くそ……」
「小娘の安全については、ワシが責任をもって約束しよう。まあ手足の一本ぐらいは引きちぎるかもしれんが、問題あるまい? 兵器である以上はな」
立ち上がることも許さない、突風。
地下闘技場に穴を穿ち、御法とフェイは遥か上空に去っていった。