真実 10
「見せもの……?」
御法が指を鳴らす。と、ドラゴンの真下にある路上が円形に光を放った。
中から現れたのは三、四組の生徒たちと教員。自分の身に何が起こったのか分からず、辺りをキョロキョロと見回している、頭上の脅威にすら気づかない。
もう一度、御法が指を鳴らした。
直後。
「が、あ、ああぁぁぁああ!?」
一人、また一人と、悶え苦しみだしていく。
幸いにも角利とフェイに異変はない。しかし転移した生徒、教員は例外なく苦しんでいる。
身体の一部を、魔物に変えて。
「角利、お主の疑問にワシが答えてやろう、丁寧にな」
ドラゴンの背から、下界の喧騒を見下ろす御法。――まるで、新しい玩具を見つけた子供のようだ。これ以上なく悪意を込めて破顔し、高みの見物を決め込んでいる。
「ワシが小娘どもを支援したのはな、単に利用するためだ。姉は兵器として、妹はその実験台として、実に好都合だった」
「実験台……!?」
苦しんでいる生徒たちの存在を無視しつつ、状況は進行していく。
とはいえ、彼らの身に何が起こっているかは明白だ。
召喚暴走症。全員がきれいに予備群だったのか、あるいは御法が仕掛けをしていたのか。進行の早い者はすでに、肉体の半分近くを魔物に変えている。
理解しているのは、実行犯ただ一人。
オークの誕生を横目でとらえながら、角利は祖父の告白を聞く。
「魔術師には稀におってな。存在するだけで、周囲に暴走症を拡散させる者が」




