真実 3
「ねえ、フェイちゃんと喧嘩でもしたの? 彼女、朝早くに見掛けたけど」
「ど、どんな様子でした? 俺、今日まだ会ってないんスよ」
「ちょっと思い詰めた感じだったけど、そこまで暗くはなかったかな。やる気に溢れてたとは思う」
だとすると、御法の行方を探っていたんだろうか? これから命を断つ、なんて雰囲気には聞こえない。
ともあれ人前に姿を現したのだ。由利音のランニングコースは学園の周辺だし、予想した事態には至らなかったらしい。
「……そういや、病院の事件について新しい情報とかありました?」
「ああ、魔物の管理ミスってことで話が進んでたよ。院長はうちに魔物はいない、って言ってるけど、誤魔化せる状況じゃなさそうだった」
「そうッスか……」
校舎では予鈴が鳴り始めている。角利たちのクラスは、一時間目から実技の授業。ほかのクラスと合同だし、なるべく早く行動したい。
もっとも、由利音は焦りを見せなかった。いつも通り角利がサボると、タカをくくっているんだろう。
「……じゃあそろそろ、いいッスか?」
「ああうん――って、一時間目って実技じゃないの? 前も角利君言ってたじゃん」
「いや、最低でも見学はしようと思って」
「ふうん、ふうん……えっ!?」
仰天した琴森の存在は、どこ吹く風。
角利は急ぎ、昇降口へと走っていった。