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真実 2
「……」
自分が、もっと早く気づいていれば。
もっと早く、傷の中核を見定めていたら。
ヴィヴィアを救うことは出来たかもしれない。少なくとも、あんな惨たらしい死を迎えることはなかった。
仕方のない結末ではあるんだろう。PTSDの患者は、トラウマの原因を思い出せないことがあるらしい。記憶の断片化によって、原因中の原因が見抜けない例があるそうだ。
だから、責任を感じてしまう。
「はあ……」
将来の夢を粉砕されたかのような意気消沈。通学路を歩く生徒たちが、思い思いに目を向けてくる。
学校もう目と鼻の先だ。今の格好をフェイに見られるのは嫌だし、きちっと気分を入れ替えよう。自分がこんな調子じゃ、彼女を慰めたところで逆に慰められる。
「や、青春中の若者」
「あれ、由利音さん」
彼女は私服でも、コンビニの制服を着ているわけでもない。ジャージ姿で、ランニングの最中のようだ。