真実 1
一枚のトーストに、ジャム。
角利の朝食はそれだけだった。由利音から差し入れをもらう時はあるが、回数自体は多くない。彼女の生活だってそこまで豊かではないんだし。
しかし今日は、フェイという助っ人がいた。
卵焼きにキャベツの千切り、インスタントじゃないスープ。……まるで専業主婦が作るような朝食だった。四治会の代表なんだからきちんと栄養を取れ、ということらしい。
お陰で朝から気分は好調だが、彼女のことを考えるとそうもいかない。
昨日、間違いなくヴィヴィアは死んでしまった。フェイの傷は推測するまでもなく、帰る最中に一度しか会話が成立しなかったほどである。
彼女はその時、私のせいで、と答えた。
角利はもちろん否定したが、返事まではもらっていない。本当、フェイの責任じゃないっていうのに。自分を追い詰めても、ヴィヴィアは帰ってこないのに。
お陰で心配は勝手に増えていった。加えて、
「何で先に学校行っちゃうかね……」
角利はいつも通り、通学路を一人で歩いていた。
起きた時、彼女は朝食とメモ書きを残して消えていたのだ。……なぜそんな真似をしたのか、想像では限度がある。生きる希望を失って自殺――なんて悲劇が起らないよう祈るぐらい。