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魔術師は現代社会に殺される  作者: 軌跡
終章 少女の存在、真実
120/168

真実 1

 一枚のトーストに、ジャム。

 角利の朝食はそれだけだった。由利音から差し入れをもらう時はあるが、回数自体は多くない。彼女の生活だってそこまで豊かではないんだし。

 しかし今日は、フェイという助っ人がいた。

 卵焼きにキャベツの千切り、インスタントじゃないスープ。……まるで専業主婦が作るような朝食だった。四治会の代表なんだからきちんと栄養を取れ、ということらしい。

 お陰で朝から気分は好調だが、彼女のことを考えるとそうもいかない。

 昨日、間違いなくヴィヴィアは死んでしまった。フェイの傷は推測するまでもなく、帰る最中に一度しか会話が成立しなかったほどである。

 彼女はその時、私のせいで、と答えた。

 角利はもちろん否定したが、返事まではもらっていない。本当、フェイの責任じゃないっていうのに。自分を追い詰めても、ヴィヴィアは帰ってこないのに。

 お陰で心配は勝手に増えていった。加えて、


「何で先に学校行っちゃうかね……」


 角利はいつも通り、通学路を一人で歩いていた。

 起きた時、彼女は朝食とメモ書きを残して消えていたのだ。……なぜそんな真似をしたのか、想像では限度がある。生きる希望を失って自殺――なんて悲劇が起らないよう祈るぐらい。

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