魔物の正体 6
相当な愛着があったようで、フェイは燃え盛る箒をじっと見つめている。もういっそ土下座するべきだろうか? なんか半泣きしてるし。
ああ、それがいい。自分にもある程度の責任はあるのだ。
あのさ、と話を切り出して、角利は自身の異変に気付いた。
手が、震えている。
何故だろう? 他に身体の変化は感じない。ワイバーンを二頭も撃破して清々しいぐらいで、今朝の自分が見れば夢だと笑いそうな進化っぷりなのに。
予想通り心配するフェイへ、角利は疑問を口にする。おかしいな、と。
「確かに顔色は悪くありませんね……他に普段と違うところはありますか?」
「見える範囲いがいでは何も。――ていうかフェイ、あの連中はどうなったんだよ?」
「ひとまず撤退しました。どんな意図があったのか分かりませんが、テュポーンという大ギルドですからね。しっかり責任を追及しようかと」
「大変そうだな――って、フェイ! 森の中!」
オーク。
ヴィヴィアを攫った、片腕を負傷している魔物がいた。
即座に追おうとする二人だが、オークも無謀な戦いは好まないらしい。直ぐに向きを変えて、大きな足音を残しながら去っていく。
「私が追います! 会長は先に公園から出てください! 火災が広がりますし、ギルドに見つかれば面倒です!」
「おい、ちょ――」
止める暇もなく、彼女は燃え盛る森林へと入っていった。




