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魔物の正体 2
肩越しに背後を確認すると、ワイバーンも同じように加速している。追加で加速を願う角利だが、すでに限界らしく箒は応じてくれなかった。
敵の口から、火球の雨が放たれる。
対する角利は、無数の剣を盾にして凌いだ。
いや、つもりだった。
「弾いた!?」
壁になった魔剣、そのすべてが制御を失って堕ちていく。
火球は何の憂いもなく角利に襲いかかった。回避を求め、その通りに動く箒。ベテランパイロットばりの飛行技術が、こちらの意図に関係なく披露される。
上下が反転し、真横を掠めていく火球。普通なら酔ってしまいそうだが、不思議とその兆候すらない。
これなら勝てる――後ろのワイバーンを目に収め、反撃に出ようとした直後。
痛烈な衝撃が、角利と箒を打ち上げた。
即座に姿勢を立て直すものの、見捨てておける攻撃じゃない。かなりの速度で動いていたのだ。よほど腕のいい狙撃手がいるか、あるいは――
正体を確認して、角利は眉間に皺を寄せる。
二体目のワイバーンだ。




