108/168
魔物の正体 1
「っ……!」
とはいえ相手は巨体。体当たりだけでも、こちらにとっては致命傷だ。正面から向き合っての撃ち合いは危険すぎる。
直感を頼りに箒を動かし、角利はワイバーンから距離を取った。
「か、会長!?」
眼下の森林、テュポーンのメンバーたちと戦うフェイが映る。
彼女はこちらを見上げながらも、確かな動きで雑兵達を片付けていた。
「箒は搭乗者の思考に合わせて動きます! ど、どうやって起動させたのかは知りませんが、好きに使ってください!」
「了解……!」
速く、と念ずるのはそれだけ。
描いた通りに箒は加速する。空気の圧力は思ったより感じない。運転席に、重力を軽減させる魔術でもかかっているんだろう。フェイの後ろに乗っていた時は、確かに圧力があったのだし。
好都合だ。どこまで操れるか分からないが、試せるものはすべて試す。




