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魔術師は現代社会に殺される  作者: 軌跡
第一章 EとS
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目覚め、そして美少女 3

「……」


 少し息を吸って、思考を自分の中に戻す。

 罪状は一つ。彼女の生着替えを見てしまった。当り前のことだが酷くご立腹で、明確な謝罪でもしなければ動けたもんじゃない。多少は向こうにも非があろうとだ。

 どうにか肩の力を抜いて、角利は改めて美少女を見る。


「――一つお伺いしたいのですが」


 凛とした、部屋の隅々まで響く美声だった。

 行動の意味を計りかねるまま、角利は首を傾げる。しかし向こうは、それを了承と介したのだろう。可憐な唇が短い前置きを作っていた。


「こちらの魔術ギルド、まだ存在はしておいでですね?」


「え? あ、ああ、登録料は一応払ってるからな。見た目こんなんだから、活動してるとは言い難いが……」


「ええ、存じ上げております。何でもご両親が亡くなって以降、ご子息のみが残ったとか。政府の認定している仮ギルドに分類されていますね? 一人の会員メンバーしかいないのであれば」


「……ああ、そうだよ」


 認めるのも悔しいが、誤魔化す方がもっと恥かしい。

 魔術師の集まりである、魔術ギルド。四治会はその一端だ。喫茶店の外観をしているのは、両親の気遣いと、切実な事情が一つある。

 日本政府は、ギルドに対して高額の税を課しているのだ。

 就職難の魔術師たちを支援するための政策らしい。一般市民から徴収するわけにもいかず、魔術師同士の支援、という形でギルドに税が課されている。

 組織自体の認可に必要なため、角利が口にしたように登録料と呼ぶのが一般的だ。

 ……その登録料で経営不振に陥ってるギルドからすれば、皮肉以外の何でもないが。

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