第二章~しょうかい~(2)
「キミじゃないよ。リアだよ! ミュウがつけてくれた名前!リア!」
女の子は少しむくれた表情をしてミュウを見上げる。
「えっと、あれ?」
そうは言われても、ミュウ自身困惑の感情しか出てこず頭を抱える。
確かに彼はリアと名付けた女性がいた。だがそれはこんな小さな女の子ではなく、もっと大人びた女性だった。
あの時の彼女はミュウよりも年上、大体20歳くらいだったが、今目の前の女の子はどう見ても5歳前後の容姿だ。
要所要所は似てはいるが、それで納得するにはあまりにもあの時の彼女より幼すぎる。
「知り合いじゃないの?あんたにスッゴい懐いているからそうなのかと思ったんだけど・・・・・・違ったんだ」
「違う、と思うんだけど」
なんだかフィルの目が細め後ずさりしてミュウから距離をとっているが、どうしたのだろうか?
「ちがわないのっ!!ミュウはリアの『 れすと』なのっ!!」
目の前のリア(仮)は床をバンバンと叩きミュウを睨んだ。
子供のにらみなのであまり怖くはないのだが、そのあまりの癇癪と、何よりもその水晶のような瞳から流れでる大粒の涙にミュウもフィルも両方ぎょっとした。
「え、えっと。お、落ち着いて、ね?」
「リア、は、ひっぐ、リア、だも、ん。ぐずっ」
困りきったミュウはリアに近づき彼女の前でしゃがみこんで抱き締めた。
「よしよし」
頭を撫でるとリアは目を丸くして涙が止まった顔をこちらに向ける。
泣き止んでくれてほっとする彼女を見ながら、あの時もあの子に安心させるようにこうやって抱きしめ頭を撫でていたなとぼんやりと思った。
リアの髪はさらさらとしており肌触りが良く、いつまでも撫でていたくなるようなそんな感覚を覚え、自然と笑みがこぼれた。
「リア、ミュウになでなでされるの、スキ」
さっきまで泣いていた子は何処へやら。
ミュウに撫でられ続けているリアは今はくすぐったそうに目を細めて笑っていた。
「分かったよ。君はリアなんだね?」
「うんっ。リアはリアだよ!ミュウがつけてくれた名前!!」
ようやく分かってくれたかと満足気な笑顔をしてリアは両手を上げて目一杯の喜びを表した。
「あははは・・・・・・」
勿論そんなことはなく、こうでも言わないとまたぐずってしまうのが目に見えるからのミュウなりの優しさである。
「ふにゅぅ。えへへへ」
そんなミュウの内情を知ることはなく、リアは彼にぎゅっと幸せそうな顔をして抱きつく。そんな彼女を見て自然と笑みを浮かべるミュウ。
「・・・・・・それで、さ」
ふいにドア付近で声がかかる。振り向くとフィルが僕らからかなり距離を取っていた。
心なしか彼女の視線が冷たい気がする。何故だろうと首を傾げる。
「あんたは名前も知らなかった小さい女の子を連れまわしてきたってことなのよね?・・・・・・服も着せずに。ちょっと引くわぁ」
「・・・・・・・・・・・・え?」
ドウイウコトデスカ?
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