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ゴーレムなカノジョは僕と共に  作者: kUROKOnet
第二章
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第二章~しょうかい~(1)

 

 ーーーーーー商工自由都市、ザガン


 元々は帝国アストルの管理下にあった町であったが、近隣の国との戦争に敗北したことにより撤退を余儀なくされ、国無き場所となったこの地を先人たちが新しく建てた1つの商業都市である。

山々に囲まれており、昔からその山では種々様々な鉱石が採れるので有名な土地でもある。

 昔は両国から色々言われたらしいが、今では帝国と近隣諸国との停戦の架け橋となり、均衡を保つ意味での中立都市となっている。

 そのためここザガンは帝国と近隣の国であるクライトス両国からの品が売買されているため、日々様々なモノや人種が賑わっている。

 そしてこの商業都市の中でも特にここでの名物産業はなんといっても『ゴーレム』である。


 ゴーレムとは魔核と呼ばれる、心臓や脳の部分を担う純度の高い魔石を軸に作られた人工生命体である。

 魔核に行動プログラムを特殊な方法で刻み込むと内包されている魔力により力を起動する。

 その用途は様々であり、主に人では持てないような思い荷物を運搬する作業用や、家庭で使われる召し使いなどの家事や介護用等々。

 そしてそれら魔石商品を作り取り扱うのが錬成師(クリエイター)であり人形精錬師(ゴーレムマイスター)である。


 そんな人形精錬師(ゴーレムマイスター)のなかでも特に有名なのがミュウ・アドリードが働いている魔石製品・ゴーレム工房「ゴッヅ」である。

 二階建てのそこは商品を取り扱う一階と居住スペースの二階となり、「ゴッヅ」の経営者ならびに従業員が住んでいる。

 その従業員用の一室。ミュウ・アドリードの部屋のベッドで寝息をたてる音が聞こえる。

 「ミュウ、まだ起きない?」

 「そうね。午後まで様子見て、それでも起きないならとりあえずはこれでひっぱたいてみましょう」

 「たたく、痛い?」

 「動かなくなったときの処置よ。人も物も叩きゃなんとかなるものよ」

 「ふーん」

 「んぅ・・・・・・ここ、は?」

 少々物騒な話をしているのを察知したのか、先程まで寝ていた彼、ミュウはゆっくりと目を開けた。

 「あ、起きたわね」

 「ミュウ、おきた!」

 まだ視界が定まらないミュウは体を起こすと先程まで話し合っていた二人を見やる。

 「大丈夫?具合悪いとか、痛いところはない?」

 そのうちの一人、長い髪をポニーテールにして纏めている赤毛の少女がミュウに顔を近づけて心配そうな表情をする。

 近くに来る前、手に持っていたフライパンを机においたのだが、料理でもする前だったのだろうかとミュウは小首を傾げたが疑問には思わないようにした。

 ・・・・・・なんとなくだが、そうした方が自分の精神衛生的に良いと判断したのだが、それは正解だった。

 あともう少し起きるのが遅れればあのフライパン(凶器)で頭部にコブができるどころか下手すればもっと深い睡眠に誘われるのは必定だったろうから。

 「あれ?フィル姉さん?っていうか、ここって僕の部屋?なんで?」

 頭が次第にはっきりしだし、辺りをキョロキョロと見回した。

 それを見て赤毛の女の子、フィル・ゴッヅは息を1つ吐いた。

 「何があったか、覚えてる?あんた、山に行って帰ってこないから心配で行ってみたら帝国軍に封鎖されてていけないし、仕方ないから麓に戻ってみたらでっかい音がして。凄かったのよ?光の柱がこうぶわぁーって感じに空に伸びて。そしたら空からあんたが落ちてきたのよ。もうビックリしたわよ」

 「僕が?」

 言われてみてあの時のことを思い返してみる。あの時炭鉱で閉じ込められて、悲観にくれていたところに日誌に隠し通路の場所が書かれていてそれを頼りに進み、隠し通路の中に入って、そこの奥の部屋に女性がいて、それから天井が抜けて、それからーーーーーー

 「そうだリアは!?」

 「わわっ、と」

 「きゃうっ!」

 あの時一緒にいた子を思いだし、ミュウは勢いよくベッドから飛び降りたので、近くにいた彼女らはビックリした声をあげた。

 「あ、ごめん」

 「いや、いいけど。ところでリアって?」

 ミュウが謝ると聞いたことがない名にフィルが不思議そうな顔をする。

 「えっと、炭鉱にいた女性で、金髪で長さが腰くらいまである僕より少し背が高いなんだけど」

 「そんな子は知らないわね。同じ名前の子ならそこにいるけど」

 そうフィルがミュウの足元を指差して言った。

 「え?」

 指された方をミュウも見るとモゾモゾと毛布が動いていた。

 さっき跳ね起きたときに床に落としたのだろう。それを引っ張りあげる。

 「ぷはっ。クルしかった」

 目の前の彼女はそう言って大きく息を吸い、プルプルと首を振った。

 首を振る度に彼女の長い金髪も左右に大きく揺れる。

 ぱちぱちと何度かまばたきしたあと、彼女がこちらを向いた。

 「ミュウ、おきた!!」

 ミュウの顔を見た途端彼女は満面の笑みを浮かべ抱きつき、頬を彼の胸にすりすりと擦り付ける。

 だが、彼は困惑の表情を浮かべた。

 何故なら、


 「キミ、誰?」


 記憶に残っていた彼女ではなく、幼い女の子がそこにいたからだ。

此処まで読んでくださりありがとうございます!


何かご意見、ご感想、修正等々ありましたらコメント下さい!!


次回も来週土曜日に投稿します。

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