第一章~であい~ (4)
先週はお休みして申し訳ありませんでした。
それでは投下します!!
「と、とにかくここを出ないと!?」
何度も続く爆撃の震動でパラパラと落ちる天井の土、壁は所々ひび割れていく。
このままここにいるのは危険だと判断したミュウは爆撃が鳴り止むのを待ち、すぐに荷物を全部持って入り口に向かって走った。
入り口に向かう間も爆撃の振動が辺りを揺らし、ミュウの足を何度ももつれさせ転んだりと、来たときよりも遅い速度で。
それでもなんとか入り口目指して足を進める。
(でもなんで爆撃音が? 今日は爆発物を使った発掘作業はなかったはずなのに・・・・・・)
そんな疑問を抱きつつ、来た道を辿り数分ほど走っていると出入り口が見えてきた。
「よし、もうちょっとで・・・・・・」
ゴールが見えてホッと息を吐いたその時、今までで一番の音と震動が身体を、大気を揺らした。
あまりの音と揺れの大きさに立っていられず、その場に座りんだ。
彼の行動は仕方がなかったとはいえ、その選択をすぐに後悔する。
「あっ!?」
地響きによりその場を動けなかったミュウは声をあげた。
先程の震動により出入口付近の天井が崩れ土砂となり塞いでしまったのだ。
「そ、そんな・・・・・・」
あと少し。本当にあと数メートルほどで外に出れたのに。
期待が高まれば高まるほどそのあと起こる絶望は何倍にもなる。
ミュウは体から力が抜けるのを感じ、立ち上がることができなくなった。
ーーーーーー出られない。
そんな最悪な思考が頭のなかでリアルなビジョンとして描き出してしまった。
今も続いている爆発による地響きのなか、ミュウは諦めたようにゆっくりと目を閉じようとした。
「・・・・・・あれ?」
しかし、手に持っていたものの感触に目を開け見てみる。
それは先程詰め所で読んでいた日誌だ。慌ててあそこから出てきたのでそのまま持ってきてしまったようだ。
何とはなしにそれを開きランタンの光を頼りに見ていく。まだ読みかけだったからだ。
(どうせやることはないし、ね)
自嘲ぎみに笑いながらページをめくっていく。
とは言っても、ほぼ最後まで見ていたので残っているページはほぼないのだが。
「ん?」
最後のページは白紙であり、なにも書かれていなかった。
(まぁ、炭鉱に関することはもう書き終わってるから当然か)
そう思い白紙のページを触ると、紙の端のところがなにかざらざらとした部分があり、違和感があった。
「これって」
何度も指で擦っていくとピリッと端の部分が切れて新しいページが現れた。
「のり付けされてる?」
貼り付いてあるページが気になり、破れないようにめくって開けてみる。
『最後に。これを見ているやつがこのページに気づいたのなら教えておこうかと思う。実はあの詰め所には秘密の通路がある』
「・・・・・・え!?」
そこには信じられないことが書かれていた。
(通路?詰め所に?)
希望が出てきたことにより彼はその先を読み続ける。
『詰め所の本棚の裏にある壁、他と同じような土壁だが、ある手順を踏むと開く仕掛けになっている。前に幽霊騒ぎがあったことを書いたが、多分そこから出入りしているやつがいるのではないかと俺は思っている。俺はここを去らなきゃならないから中までは確かなかったが、もしこれに気づいたやつがいるのなら手順をここに記しておく』
「もしかしたら助かるかも・・・・・・」
日誌を読み終えた彼の目に生気が戻り、ゆっくりと立ち上がる。
「ここにいても死ぬだけ。だったら、この日誌に書いてあることを試してみよう」
ミュウは顔をパシッと叩いて気合いをいれ、再び詰め所へと戻っていった。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
ご意見、ご感想、修正等々なにかありましたらどんどんコメント下さい。
次回は来週土曜に投下します。