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DeuxEngage~If story~  作者: 黒猫軍曹
7/9

プロローグ:真実

2時間の話し合いの結果、兵吾と静が情報管制を担当し、実働舞台は青柳と敦が率いて動くという体制に落ち着いた。


静と沙織は?


沙夜の居る場所に着くまでは、大型トレーラーの中で待機し、沙夜のアフターフォロー係だ。


『若、あまり派手に・・・とは、無茶な注文ですね。好きに暴れて下さい。』

『任せろ。俺のものに手を出したことを後悔させる程度には、暴れてやる。』

『敦のぼっちゃんのサポートよろしくね。青。』

『承知致しました。兵吾様』


通信が切れる。


兵吾と雫は、内輪もめが馬鹿らしいということと、やるとしても時と場所を考えやるということをわかっていた。逆説的にいうなれば、わかっていながらやり合うのは大人としてどうだという意見があがりそうだがそれは割合しよう。


大型ディスプレイを見て静と沙織は驚愕した。


<<格>>、<<家>>、この事を知っている二人が、だ。


それほどまでに、浮島敦と青柳は圧倒的だった。


彼等は、菱宮の敷地に入るなり、正門を壊し堂々と入っていった。


赤坂の首相官邸よりも強固であろう、個人軍隊を突破し。


何より二人が驚いたのは、彼等が素手だったということだ。


銃火機相手に素手で殴り、蹴りとばしている。


敦が殴り、蹴りとばしてくる相手を青柳が絶命したのではないかという、音をさせながらとどめを刺していく。


もしも、<<格>>や<<家>>を知っている二人以外の人間が見るとこう思うだろう。


「あぁ、映画の特撮だな」


っと。


想像して欲しい。


普通の人間、しかも黒スーツを着た長身の男が銃火機に突っ込んでいってほぼ無傷、それは身体的意味だけではなく文字通り、無傷だ。スーツに汚れすらつかない。


文字通り、ちぎっては投げをしている男のすぐ後ろにいる女性は、無表情でちぎっては投げをし、飛んで来る人間にとどめを刺す。


これが、特撮以外の何と思えよう。


ものの数十分で、非常に強固な守りは崩壊した。



実にあっけない。


「おかしいな・・・なぜ逃げないんだ・・・浮島の当主直々にせめて来てるのだから、何をしても無駄だと思わないわけはないだろうに・・・」


そんなあっけない顛末に兵吾の呟きが聞こえた。


それを聞いて、雫は今まで気にならなかったことが急に気になり始めた。


どうして、沙夜が誘拐されたのか?

その原因は菱のお嬢様が平坂に依頼されたーーー


だが、果たして本当にそれだけだろうか。



菱のお嬢様程の頭の回転の速さがあれば即、こうなる事は計算出来た筈だ。


仮に、お嬢様の目的が勇也自身だとしよう。

しかし、矛盾が生じた。


勇也自身は寝ているので、話すことは出来ない。


ただ、一目見たいだけにしては大掛かりすぎる。


その原動力は何なのだろう?


その疑問が、雫の中を駆け巡る。




----沙夜覚醒10時間前



少女は1人、気だるそうに沙夜を見下ろしていた。


これが私の片割れ・・・


少女の名前は、菱宮沙夜。


沙夜と同じく、沙夜という名前の女の子だ。


年齢も沙夜と同い年。


そして、沙夜と同じく<<二人の花嫁>>


沙夜と違い、菱宮沙夜は全て知らされ、それ故に自分の人生を悲観した。


それも一度や、二度ではない。


だが、結果論として彼女は諦めた。


自分の人生は、菱の家に生まれた時点でこうなることが決まっている。


そう、悟ったのだ。


だが、悟った彼女には腑に落ちない点があった。


同じ、<<二人の花嫁>>の木嶋沙夜は知らない。


何を?

全て。


<<二人の花嫁>>も自分の出自も。


そんな彼女が、菱宮沙夜は木嶋沙夜が憎かった。


どうして?なぜ、あなたはそんな風に生活出来るのに私だけ。


彼女の中で、沙夜は憎い片割れへと憎悪の対象へと変貌していった。



素晴らしい血筋の子孫を生み出す。


それが彼女の本懐だと刷り込まれ育てられた菱宮沙夜。


父親が家督放棄をしたため、仮初めの自由を手にして、何も知らずに温々と育つ木嶋沙夜。


立場は同じでも、境遇が・・・心境が異なるのは致し方ないことだろう。


最初から、彼女が沙夜を敵視していたかというとそうではない。


沙夜の現状を知ったのは、極々最近だった。


自らの出自に関わる秘密を知ったのも。


----現時刻


沙夜は大分、明るい所に目が慣れて来ていた。


慣れ親しんだ顔がそこにはあった。

親友の沙織、親友の静。


二人の顔をみて沙夜は、安心した。


沙織の次の言葉を聞くまで。


「初めまして・・・私、当館の当主、菱宮貞峰の娘、菱宮沙夜です。」



----沙夜覚醒1時間前



菱宮沙夜が全てを知ったきっかけは、自分の16歳の誕生日に父親が懇意にしていた、政治家と話していた一幕からだった。


「そういえば、菱の娘さんはお元気ですか?何でしたっけ・・・沙夜ちゃん?」


「いえ、今は沙織と名付け育てています。」


「確か、今回は<<二人の花嫁>>が復活したとか。」


「えぇ。木嶋・・・旧富士宮茂の娘と菱の娘二人が対象者ですね。」


「この制度自体、ある意味祭りですからね。我々に出来ることがあれば、遠慮なく申し付け下さい。」


「有り難うございます。今後とも、是非よろしくお願い致します。」


「しかし。本当にすごい風習ですよね。近親相姦だなんて、今時。」


「驚きですよね。木嶋沙夜ちゃんのお母さんと菱宮のお母さんが同一人物で、かつ茂さんの従姉妹だなんて。二人とも親が一緒の双子。しかも、相手の茂さん自身も神道の名門富士宮と政治一家名門の十条の血筋ですからね。二人の沙夜ちゃんは、本当にこの国を率いるべき遺伝子の塊ですね。」


彼女は絶望した。

そして、呪った。


自らの血を、肉を。


おぞましい。


そして<<同じ人間>>がもう1人いることを知った。


それが木嶋沙夜だった。

親友だと思っていた。

なぜか、他人のような気がしない。

そう感じていた。


それは、当然だった。

二人は双子だったのだから。


最初は彼女も、同じ境遇だと思っていた。


だが、違った。


彼女は・・・木嶋沙夜は文字通り<<何も知らない>>。


その事実に心を打ちのめされた。


裏切られた。

そんな理不尽な感情を沙夜に抱いた。


綺麗で汚れの無い心を汚したいと思った。


そして、今回の件を思いついた。


だがすぐに、花嫁に手を出したことに感づき、浮島が動くことは予想された。


浮島が動くのは脅威以外の何ものでもない。


ならば、彼女はどう動く?


幸い、敦にも雫にも面が割れていても菱宮という事を知られている様子は無い。


答えは簡単だ。


二人さえ騙せばどうとでもなる。


彼女の描いた通りにストーリーは進んだ。


当初は。


誤算があったとしたら、それは兵吾の介入だった。


兵吾には既に、自分が菱宮沙夜だということはバレていた。


だが、兵吾は素知らぬ顔で事の行方を見送っていた。


沙織は内心いつばれるかわからない緊張感に辟易していた。


だが、その様を

「友人を心配して心労が来ている少女」

と言う認識に置き換えさせた。



全て、沙織の思い描いた通りに進んだ。


そして、菱宮の館が制圧された後沙織は、静と一緒に沙織の前に立っていた。



----現時刻


沙織の一言に沙夜は驚愕した。

沙夜だけではない。

敦と雫も。

兵吾だけが面白そうに事の成り行きを見守っている。


「嘘・・・だよね?だって、沙織は・・・」


「それは、その名前は私の父が私が菱宮の家の人間だと周囲にわからないように後付けしたためのものです。」


口調までもが、完全に別人だった。


驚愕している沙夜に対し兵吾が


「沙夜ちゃん。彼女はれっきとした、菱宮沙夜ちゃんだ。それは僕が保証するよ♪」


と添えた。


「沙夜さんはお気付きになっていないかもしれませんが、私と貴女。他人のような気がしないということは、ありませんでしたか?」


「結構あるかも・・・」


「それもその筈です。」


「私と貴女は、双子なのですから。」


「え?ど、どういうこと?」


「さらに付け加えるとしたら・・・呪われた双子です。」


「なんで・・・?どうして?」


「思えば貴女はいつもそう。何も知らない。何もわからない。そういう態度ばかり。まぁ、いいでしょう。教えて差し上げます。私と貴女のお父様とお母様は近親相姦の上で私たちをこの世に生み出しました。しかも、お二人もその行為によって。わかりましたか?私たちの血には、おぞましい近親相姦で延々と紡がれた血が流れているのです。」


「なら、お兄ちゃん達は関係ないんじゃないの?」


「本当に何も知らないのね。浮島も木嶋も近親相姦の家系ということも知らないのでしょうね。」


「私と・・・敦さんも血がつながっているってこと?」


「そうです。私と勇也さんも。」


「でも、<<二人の花嫁>>の役割はそれだけではないのです。」


「双子以外でも意味があるってこと?」


「双子だけでそんな仰々しい呼び名がつくわけないでしょ?」


「それは、そうかも・・・なら、どうして?」


「私たちは、正確には私たちの子供には私たちを超える素体となりうることが出来ます。そして私たちはその素体を生み出すことが出来るのです。ただし、当然一般人と交わってもそんなことは不可能です。なので、結果として悍ましき近親相姦をせざるを得ないということです。」


「どうして、一般人と交わったら駄目なの?」


「相手が保たないからです。上手く子を孕んだとしましょう。でも、高確立でその子には障害が発生します。私たち4人の遺伝子を受け入れ、素体を生み出せることが出来るのは、何代にも近親相姦で成功している家系という事です。」


「でも、他にもそういう家系ありそうだけど・・・」


「そこが私と貴女が他と違う点です。」


「どういうこと?」


「私と貴女には、神道の名門の血と政治干渉力の名門の血・・・しいては、霊的干渉能力の高い血と人心掌握術に高い血が流れています。つまり、霊的個体値も必然と高くなります。有事の際に、どちらか1人が生け贄として機能する程度に。」


「ここから先は私が説明しよう。」


二人の会話に1人の女性が割って入った。


「お嬢。お早いおつきで。」


兵吾はそういい軽く手を振った。


お嬢ーーー平坂夜鶴が話を引き継ぎ、続けた。


「霊的素体値、政治への干渉力、この二つを兼ね備えた人間がこの世に二人も居ると色々と困るだろう?だから、本来は秘密裏にどちらかが他の人間と交わるんだがな・・・今回のは、少しだけイレギュラーがあったのでこの手をとざるを得なかった。」


沙夜は平坂夜鶴の続きの言葉を待った。

それに答えるように、夜鶴は続けた。


「イレギュラーというのは、木嶋勇也の存在だ。」


「お兄ちゃんが?」


「あぁ」


夜鶴は短くそう答えた。


「どうしてお兄ちゃんが?」


「それは・・・」


夜鶴が答えを返そうとするとヘリの音が聞こえて来た。

ヘリから1人の少女が下りて来た。


ミリアムド・ヘラー・マーカス


五家が一つ、ヨーロッパ地方最大手の海運会社令嬢という肩書き。


物流インフラに於いては、世界市場の約3分1を占有しているため、どこにでも影響個所があるが、特に強いのが軍事運送であり戦争の勝敗はH・Mグループをどれだけ引き込めるかに掛かっている。


<<死の商人>>


そう呼ばれている

ヘラー・マーカス家の次期当主だ。


そして、ヘリから下りて早々彼女は全員に対して彼女は告げた。



「木嶋勇也はヘラー・マーカスが貰うわ。」

はい。ここまで読んで頂きありがとうございます!色々とぶっちゃけてます。はい。本編と関わりがあるかないかですって?それは、本編のゲームでご自身でお確かめ下さい!と、まぁこれだと単なる企業の販促になるのでちゃんと続きます!ただ、今回の話でプロローグが終わり、次回からはやっと本編になります。。


ここまで、読んで頂き有り難うございます。

評価・感想お待ちしております。

よろしくお願いします。

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