九節
一通り話を終えたので、結衣達の居る広間へと戻る。
宴は既に終わっており、片付けに入っていた。
「あ、遅いよー蓮!」
結衣が俺に気づき、声をかける。あの口ぶりからするとすっかり打ち解けた様だ。
「すまんな」
俺は浅間に一言いうと、結衣と鈴音の元へ行く。
「結衣、鈴音、話がある」
俺は先の二人の様子を見て事実を話す事にした。
二人は頭上に?マークを浮かべながら顔を見合わせる。
広間にある多数の椅子の中から端にあるものを選び、腰掛ける。
「二人共、聞いてくれ、これから言う事は全て事実だ」
俺は二人になるべく衝撃を与えないように、全ての事実を話した。
案の定、二人は驚いていたが、思っていたよりもずっと立ち直りは早かった
恐らく二人も宴の時に多少の話は聞いていたのだろう。
「ならそのクロウリーって人を倒せばいいんでしょう?」
いつもならそう簡単に言うなよなどと突っ込んでいる所だが、今回は素直に同意する。
「あぁ、そういう事だ」
「そうですよ!私たちが居れば怖いもの無しです」
鈴音がニコッと笑いながら言う。
「お前ら……ありがとう……」
ちょうど話が終わった頃に浅間が広間で口を開く。
「みんな聞いてくれ!!」
浅間の声に皆が反応する。
「蓮君たちが加わった事で、僕たちの戦力も多少増加した。これからは戦いも激化するだろうから三人一組で行動してもらう」
皆も三人一組になる理由は予想できていたようだ。
「それと、もしクロウリーに遭遇した場合、絶対に戦おうと思わないでくれ」
浅間の目つきが変わる。
「まず仲間に連絡を取り、増援を待ってくれ。増援が来るまでそこから動かないでほしい」
みんなが無言で頷く。
やはり浅間はリーダーになる資格というものを兼ね備えている気がする。
「それじゃあ、今日はゆっくり休んで明日から捜索だ!」
それぞれ自分の部屋に戻り、就寝する。
俺も自分の部屋に入り、ベッドに横たわる。
明日からはより危険が増すだろう……。
当然クロウリーだけではなく、機獣との遭遇率も格段と上がるだろう。
結衣や鈴音と行動を共にするがもしもレベルⅤの機獣やそれこそクロウリーなどに遭遇してしまったら……。
などと考えてしまうのは俺の悪い癖である。
まあ、今夜はゆっくり休んでこれからに備えよう。
ここで思考を停止し、静かに眠りにつく。