七節
「かんぱ~~い!!」
みんなで声を揃えてグラスを合わせる。
なぜこのような経緯に至ったと言うと──
「ここだよ」
言われるがまま俺達はエレベーターに乗りこんだ。まあ俺達と言っても、結衣と鈴音は恐らくショックだったのだろう、放心状態に陥ってしまっており男二人でおぶっている状態だから、俺達、というのには少し違和感を感じる。
間も無く、エレベーターは地下へと向かい始めた
「アジトは地下なのか?」
「あぁ、言ってなかったかな? 上だとどうしても機獣に見つかってしまうからね」
一言だけ会話をし、果たして俺はこの男を信用していいのか、そう思いながら地下に着く。
エレベーターから降りて、ふと無防備な女二人の顔を覗いてみれば、それは穏やかな物であり、寝てしまったようだった。
「そういえばまだ名乗ってなかったね」
言われて、いろいろな出来事があったせいか名前すら聞いてなかったことを思い出す。
「僕は浅間海斗っていうんだ僕達のグループのリーダーだよ、よろしく」
手を差し伸べられ。
「俺は佐藤蓮だ、こっちのツインテールの方は中村結衣そんでもう一人は尾上鈴音」
ついでに二人の名も告げて、俺は浅間の手を握る。
そして再び無言で、幅2m弱の通路を少し歩き、一つの扉の前に至った。中からは笑い声や叫び声などが聞こえ、何やら賑やかな様子である。
「お、来た来た。ようこそ僕達のアジトへ」
目を、見開いた。
「こんなにも人が居たのか……」
目前に広がる景色は、地上とはまた違い、かといって鈴音の基地とも違っていて、一言で言えば独特の雰囲気を醸し出していた
「結衣っ鈴音!!起きろ!!」
「う……ん……」
やかましいというのもどうかと思うが、そうとしか言い様の無い声々に刺激されたのか、目覚めた結衣と鈴音は寝ボケた目を擦りながら前を見る。その仕草が似ていたので、俺は一瞬二人が双子なのではないかと思っていた。
「蓮……これは、夢?」
結衣は俺を揺さぶりながら声を出す。
「夢なんかじゃねぇよ、てか俺を揺するな」
「あ、ごめん……つい……」
鈴音もこの光景が目に入ったらしく。
「蓮さん……これは夢ですか?」
全く、お前らは双子か……と二度目の突っ込みをいれかける。
「僕達の仲間だ、僕があらかじめ君達が来ることを言っておいたから宴の準備をしていたんだよ」
「そんなことまで……ありがとう、すまないな。ところで結衣……」
結衣に質問した時には、本当に無防備な二人である……、身の上も知らぬ人間たちと早々に打ち解けて、鈴音と宴の準備をしていた。
「あいつら……」
「さて蓮君と言ったね、今日はパーっと楽しもうよ」
浅間は逆に鬱陶しい程の爽やかさで提案した。
「あぁ、そうだな……世話になる」
──と、まあこんな感じで今に至る。
「さて、蓮君……大事な話があるのでちょっといいかな?」
浅間は俺の耳元に囁く。
別室に案内され、木製の椅子に腰掛ける。
「結衣ちゃんや鈴音ちゃんはもう少し安静にしておいた方がいいと思ってね、機獣についてなんだけど……」
「さっきのバカでかい機獣の事か?」
俺はあの巨大な機獣について聞きたい事が山ほどある中で最も気になっている質問は投げかけた。
「あの機獣はどこから出てきたんだ……いきなり空が裂けて……」
俺の質問を聞いた浅間は少し黙り込んでから口を開いた。
「蓮君、これから僕が言う事は信じられないだろうが全て事実だ」
真面目な眼差しで俺を見てきた浅間の目にはとても力強く、気迫が感じられた。
俺は浅間の意図を悟り、黙って頷く。
「まずはじめに言っておくよ、機獣は自然発生したものではない」