二十節
しばらくして、結衣、鈴音と合流した。
結衣は放心状態にあり、鈴音は驚愕している。
拓哉との戦闘を含め、今までの事を全て話した。そして浅間の事も……。
「浅間さん……」
ポツリと呟く鈴音の声には尊敬の意も込められている気がした。
どうやら拓哉の創りだした機獣の動力はアグリゲーターのみならず拓哉とも関係していたらしく、拓哉が命を落とすと同時に機獣も全ての動力を失うらしい。
取り敢えず、二人が無事であることに感謝するとしよう。
その場に三人が無言のまま、しばらく動かなかった。
あのハルファスの力は何だったのだろうか……。
浅間と共鳴し、特殊な力を発揮した俺の愛銃。
もしかしたら浅間は……。
「そんな訳ないか」
小声で呟く。
「どうかしましたか?」
ふと、甘栗色髪と瞳を持ったの少女が問いかける。
「いや、何でもないさ」
言いながら立ち上がり、結衣と鈴音を見つめる。
「ほら、二人共!まだ戦いは終わった訳じゃないぜ!!」
「そう、よね……」
今まで口を開かなかった結衣が立ち上がる。
「そうですね」
鈴音は思いの外、笑顔で立ち上がる。
「さて、これからやる事はたくさんあるけど、改めてよろしくなッ!」
「ええ」「はい」
俺は空を見上げながら囁く。
「お前も、人間を捨てきれなかったんだな……」
──あれから一年後
「鈴音ッ後方支援頼む!!」
「任せてください!」
言い終わると同時に敵の左翼を撃ち抜く。
「結衣、行くぞッ!!」
「オーケー!」
俺と結衣は地面を強く蹴り、敵に向かって跳躍。
両目をハルファスで潰し、結衣が紅点目掛けて一刀両断。
その場で鷹型の機獣が崩れ落ちる。
「ナイスです!蓮さん、結衣さん!」
「鈴音もな」
各々がハイタッチを交わし、武器をしまう。
拓哉が死んで大多数の機獣が消滅したが、未だ自然発生する機獣は存在する。
この世界も段々と人々が協力して復興しつつある。
まだ完全に人間同士が解り合える状態ではない。
復興を通じて、人々の考えも変わりつつある。あの醜く、利己的な考えから段々と協力、思いやりという考えが芽生え始めている。
これが人間の底知れぬ力だ。どんなに絶望の淵に追いやられても、必ず希望の光は在る。
それを活かす事が出来るのは機械なんかじゃない、"人間"だ。
だから俺達は戦い続ける。いつまでも、どこまでも戦い続ける。
いずれくる、争いのない、本当に解り合える世界を信じて──。
どうも、やっとの事で騒擾閑化のティラトーレ(そうじょうかんかのティラトーレ)完結しました。
今までご愛読下さった皆様、本当にありがとうございました!!
今回は初めてという部分もあり、習作としてやっていきましたがとにかく展開が早すぎて申し訳ありませんでしたm(_ _)m
意識してもなかなか改善出来ず、四苦八苦していました。
そして終わりもかなり急いだ形になってしまったこともお詫び申し上げます。
初めてということもあったので細かい部分は多めに見てください><
この話は完結しましたが、次作はもっとじっくりゆっくり考えて、今回の反省を活かしていけたらなと思います。
次作はまだ考え段階なのでいつから更新できるかわかりませんが、書こうと思っています。
是非、読んでみてください!!
それでは、改めて今まで読んでいてくださった皆様、感想を書いて頂いた皆様に心からお詫び申し上げます。
本当にありがとうございました。