二節
あれから数ヶ月、蓮は未だに自分の記憶を取り戻せずにいた。
眩しい日差しと共に人影が目に入る。
「起きて蓮、朝だよ!」
とても寝起きがいいとは言えない朝だった。
「うぅ……。」
いつまでたっても起きない俺に結衣は……。
──パンッ
そう、俺はアルンという村で毎日の朝を結衣に殺されかけながら過ごしている……。
「まったく、毎日こんなことしなきゃ起きないなんて弾がもったいないでしょ!」
結衣は腰に手をあて、呆れた顔で言う。
「じゃあやるなよ!!」と言ってもこれしか起こす方法がないなどと言われる。
それはさておき、例の「機獣」についてだが数ヶ月経って多少慣れてきた。
どうやら機獣にはそれぞれ弱点があるらしい……。
あるやつは目、あるやつは胸などすべてバラバラのため見つけ出すまでが大変だ。
ただ、機獣の弱点はどれも赤い光沢があるので見つけられない事もない。
俺は相棒「ハルファス」と共に日々機獣と戦っていたため銃の腕も格段と上達した。
この世界ではパートナーを組んで機獣と戦う決まりがあるので俺は結衣と組んで今は拠点で休息中だ。
「最近の調子はどう蓮?」
俺はまだ記憶がない事は話していない。
「あぁ、まあまあってとこだ」
結衣は優しそうな表情で言った
「まあ、今はゆっくりと休んでねこれから先は長いだろうから」
あぁと言おうとしたその時──
ズバババババババァァァン
機獣!? そんな、拠点に機獣が来ただと?
「ほら、蓮ボサっとしてないで早く構えて!」
そう言われると蓮はホルスターから「ハルファス」を抜く。
「くそっ! マシンガンの機獣かっ!」
眼前の機獣は四足歩行で、両肩にマシンガンらしき物が付いていた。その体躯を俺が知る動物で例えるならライオンやオオカミが妥当だろうか。
「マシンガン相手じゃ持たないっ!! 結衣っ少しの間時間を稼いでくれ!!」
結衣は無言で頷くと両腰のホルスターから拳銃を抜き致命傷の弾だけを弾いている。
「すげぇ……」
などと見とれている場合ではない!早く奴の弱点を見つけなければ!!
蓮は機獣の機体を隅々まで見回し……見つけた!!
右前足の付け根に赤い光が!!
「結衣っ!! 右前足の付け根だ!!」
「わかった!!」
結衣はその言葉を言うと同時に二丁拳銃の標準を右前足の付け根に集中し銃弾の嵐を浴びせる。
よしっと思った次の瞬間っ!!
二人は驚愕した。
赤い光は確かに消えていた。
だが、機獣はまだ暴れている。
「どうしてだ……今までは弱点の光を壊せば機獣は機能しなくなっていたはずだ!!」
困惑していた二人の隙をつき機獣の銃口がこちらに向いていた。
「しまっ……」
打たれたと思った……。
──その時
キンッという音と共に機獣が動力を失い、その場に崩れ落ちた。
「何が……起きたんだ?」
俺は動揺で頭が回らなかった。それは、結衣も同じだった、なぜいきなり機獣が崩れ落ちた?弱点をついても崩れなかった機獣がなぜ?
動揺してた俺たちに人影が近づいてきた。
二人は警戒心抱きながら近づいてきた少女が狙撃銃を背負っていたのが見えた。
「危なかったですね、今のは珍しいタイプの機獣です。最近増えてるんです弱点が複数ある機獣が……」
その少女は亜麻色のショートヘアーだった。
「その話、詳しく聞かせてくれ!!」