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騒擾閑化のティラトーレ  作者: いくら
人類機獣化計画
18/20

十八節

 キンッ!

「ッ!?」

なぜだ……なぜ銃弾が弾かれた?

前を見ると、そこには見覚えのある斥力フィールドが展開されていた。

「浅……間?」

"何故"という疑問だけが俺の頭を埋め尽くす。

「/±※ヴ√■……ガ……」

浅間……。



──走れッ蓮君ッ!

目の前の異空間に蓮が飛び込んだ。

「うまくいったみたいね」

結衣が呟くのに反応するかの如く、機獣がこちらを再照準する。

「安心するのはまだ早いようだね」

結衣も柄に手を添え、抜刀の構えをとる。

鈴音はというと、この数相手に狙撃手は相性が悪すぎるが故に先のどさくさに紛れて後方支援に回ってもらった。

敵の総数はざっと百程度。

「どうするの?浅間さん」

敵から視線を外さず結衣が問う。

「結衣ちゃん、君は攻撃に徹してくれないか?防御は僕と鈴音ちゃんに任せて」

結衣はコクリと頷き、雪面を蹴った。

それに応じて機獣も結衣目掛けてフルバースト。そこに浅間の斥力フィールド展開、結衣の身体を覆い、全銃弾を弾く。

そこを逃さず結衣が目の前の機獣二体を薙ぎ払う。

左上から捨て身の勢いで突っ込んでくる機獣が二体。浅間は前方の機獣の攻撃を防いでいる為、対処しようがない。

だが、それを逃さず二体が重なった瞬間、音速を超える弾丸が二体を貫いた。

まさに神業だ。捨て身の勢いで突っ込む二体を一撃で仕留めるのは至難の業である。

射抜かれた機獣二体は勢いを失い。そのまま重力に身を任せて自由落下する。

「さすがね、鈴音」

後ろに身を潜めている鈴音に言う。

さらに目の前から人型の機獣が五体走ってくる。

「浅間さんッ目の前の五体は任せて、後ろのお願い!」

言うと結衣は長刀を解き放ち、鬼人のごとく舞い踊る。

あの華奢な身体で長刀を振り回せるのが不思議なくらいだ。

結衣は刃を止めることなく、斬った勢いでを殺さず、常に長刀が暴れている。

死角から攻めてくる機獣は浅間と結衣が防いでいる。

戦闘開始からざっと二十分が経過しただろうか……。それでも尚、機獣の総数は戦闘開始の約半分程だ。

機獣は消耗しないが人間は長期戦に劣る。さらに結衣に至ってはずっと敵を斬り続けている

「結衣ちゃん、大丈夫かい?」

「ハァ……ハァ……う、うん」

疲労困憊なのは見るまでもない返事だ。

このままでは確、実、に、や、ら、れ、て、し、ま、う、そんな思考が浅間の頭を埋め尽くす。

すると、機獣はこれを待っていたかの如く、一斉掃射の構えを取る。

「マズいッ!」

標的は浅間と結衣のようだが、その"量"が尋常じゃない。

浅間の斥力フィールドで防げるとしてもどちらか一方が限界だろう。

「私は……大丈夫だから、浅間さん。」

そう優しく微笑む結衣。それと同時に照準を完了する機獣達。

カチャリ……。

──いいわけないよ。

ドガガガガガガガガガガガガガ──

刹那、全てを破壊し尽くす否、全てを無にするかの如く重音が轟く。

これぞ地獄と呼ぶべきであろうか、幾多もの銃弾が容赦なく降り注ぐ。

………………。

何秒続いただろうか……銃弾の嵐が止んでも尚、砂塵が立ち煙る。

「私は……死んだ……の……?」

ゆっくりと結衣がその重い瞼を上げると目の前には青白いフィールドが今にも消えようかと言わんばかりな弱々しさで揺らいでいた。

「え……?」

自らの身体を見るも傷ひとつついていない。

ゆっくりと隣を見てみるとまだ砂埃が立ち込めていてあまり見えない。

「浅間……さん?」

案の定返事はない。

果たして浅間は、その身体から夥しい量の鮮血をを流していた。

「嘘……嘘よ…………ねぇ?浅間さん……起きて、よ。返事をしてよ…………ねえってばぁ!!」

結衣の瞳から数粒の雫がこぼれ落ちる。

後ろから鈴音が歩み寄る。鈴音も数発喰らっていたらしく既にボロボロの状態だ。

「うぅ…………ぁ……うぁ…………うぁぁぁああああああああ」

「結衣さん……」

鈴音がそっと結衣に手を差し伸べる。

泣き叫ぶ少女を気にかける訳でもなく、機獣が浅間に近づく。

「……て…………やめ……て……」

涙を浮かべ、泣き崩れている少女の願いが通じるはずもなく、浅間に何かを植え付ける。

すると、何かを植え付けられた途端に、浅間の身体が機械化し始める。

「いや……」

段々と原型を留められなくなっている。

「いやぁ……」

その機械化が徐々に身体を埋め尽くし、ついに顔まできている。

「い……ぁ……」

言葉にならない声が嗚咽まじりに溢れる。

ついに、機獣の特徴とも言えるその紅点が姿を露わにした。

もう立っていられるはずもなく、結衣は膝から崩れ落ちる。

鈴音は驚愕と同時に怒りという感情が込み上げている。

そう、かつての姉と同じ状況。もはや元に戻る手段などない。

「すみません……浅間さん……」

すぐ隣で泣き崩れている結衣にすら聞こえないほどの声で呟く。

狙撃銃を構え、浅間に照準、迷わずトリガーを引く。

だが、神速の弾丸を機獣化した浅間は斥力フィールドで防ぐ。

「え?」

機、獣、化、し、て、も、能、力、が、消、え、て、い、な、い。

再度装填、その鉄塊を放つも、先と同様に弾かれた。

そのフィールドとは対照的な深紅の瞳がこちらを射抜く。

さすがに二度目まだけはあり、鈴音は冷静に分析する。

機獣の狙いはハナから浅間だった。最初は厄介な能力を持つ者から消そうという考えだとばかり思っていたが、それは大きな誤りだ。

最初から浅間を狙っていた理由は浅間を機獣化させる為だろう。

恐らく機獣化は特殊能力を引き継ぐのだろう。

故に特殊能力の持ち主である浅間を狙ったのだろう。

そうなるとこれはかなりマズイ状況だ。

結衣はもはや戦える力など残っていない。ましてや狙撃手一人で何とか出来る等到底あり得ない。

「ここまで……ですか……」

普段から弱音を吐く事が無かった鈴音の口から溢れる。

だがその時、浅間が突如として消、え、た。

文字通り消えたのだ。浅間だけを取り囲む様に異次元へと消えていった。

「一体何が……?」

さすがの鈴音も理解しかねない。困惑状態にある二人をさらに衝撃の事実が襲った。

突如として天穹を切り裂き、闇が現れた。その見覚えのある闇からは見間違う訳もない、あの巨体……レベルVだ。

もはや絶体絶命の状況。助かる見込みなどない。

だが、直後天穹に現れたレベルVが思わぬ行動に出た。

空間が歪んだと思うが否や、目の前に居た多数の機獣が紅点の輝きを失い、その場に崩れ落ちた。

「え……?」

機獣が崩れ落ちるとレベルVは空の暗闇へと消えていった。

「私達は助かった……の?」

結衣が目元を腫らしながら問う。

「そう、みたいですね……」

二人はしばし、その場にへたれ込んだ。

どうも、いくらです。

更新を月一ペースで保っていたのですが、ついにそのペースが崩れてしまいました。

テスト期間やらなんやらでとても多忙な毎日でした……。

読者の皆様にはご迷惑をおかけしました><

さて、初めてあとがきを利用させていただきましたが、そろそろ終盤って感じです。

なんか展開がとても早いのが自分でも気になるのですがなかなか難しいものです……。

努力はしているつもりなのですが気づいたら展開が……という状況です。

まあそんなこんなで頑張っていますので最後までお付き合いしていただくと光栄です!!

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