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灰色の翼をもつ天使と僕の聖戦  作者: 小田原 純


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第33話 神さまたちとご対面

白い石造りの回廊を抜けた先、

一行は、どこか神聖さを帯びた広間へと足を踏み入れた。


天井は高く、空気は澄んでいる。

静寂の中に、どこか“見られている”ような感覚があった。


「ここが……」


キラが小さく呟く。


「和神の神殿だ」


ハルが静かに言った、その瞬間だった。


「――ハル、よく来てくださいました」


柔らかな声が、どこからともなく響く。


次の瞬間、光の粒子が集まり、

一人の女神が姿を現した。


――だが。


「……ひ、人が多い……」


ぴたっ。


一拍の間の後、


(スッ)


女神は、近くの岩陰に隠れた。


キラたち四人の思考が、見事に一致する。


((((めちゃくちゃ人見知りだ……))))


ハルは慣れた様子で一歩前に出た。


「お手数をおかけして申し訳ございません、天照様」


岩陰から、ひょこっと顔だけが出る。


「い、いえ!大丈夫ですよ!その……他の神も呼びますので……」


「呼ぶ?」


烈也が首を傾げる。


天照は、少しだけ得意げに言った。


「グループラインで一発です」


「天界、そんな現代的になってるの!?」


思わず烈也が叫ぶ。


天照はこくりと頷いた。


「私のような内向的な人種には、フルリモート勤務はとても素晴らしい方法です」


(日本の神界って……時代に追いついてるんだな……)


キラはなんとも言えない気持ちで空を見上げた。


――その時。


空間が歪んだ。


次の瞬間、炎が弾ける。


「俺ちゃん参上ーー!!待たせたね、烈也くん!」


炎の弾丸のように、一人の男神が飛び込んできた。


「うるせえ花火かよ!」


烈也が即座にツッコむ。


天照が頭を抱えた。


「カグツチさん、その登場の仕方やめてください。神託で“山が燃えました”って苦情が来てますから……」


「あっちゃー!またやっちゃった?ごめんね!」


「軽いな!?」


烈也のツッコミが響く。


そこへ、すっと風が流れた。


「……騒がしいわね」


凛とした声と共に、一人の女神が現れる。


「シナツヒメです。よろしくお願いいたします」


颯の目が一瞬輝いた。


「シナツヒメ様の方か!可愛い女の子でラッキー――」


「不埒者」


風が、ぴたりと止まる。


空気が一瞬で張り詰めた。


「あなたのような不埒な男性は、しっかり矯正いたします。覚悟してください」


「温度差が怖い!」


颯が思わず一歩下がる。


カグツチが肩をすくめた。


「あー、その人、俺も半径1メートル以内近づくなって言われてるからね」


「相性最悪じゃないっすか……」


烈也が苦笑する。


その時、地面がわずかに揺れた。


重厚な足音と共に、大柄な男神が姿を現す。


「わしがオオクニヌシじゃ。大地とはおぬしか?」


大地は目を丸くした。


「すごい……なんだかドワーフみたいだ」


「ほっほっほ、面白いことを言うのう」


オオクニヌシは豪快に笑い、ふと何かを差し出した。


「ほれ。わしが育てた花のブーケじゃ。お近づきのしるしに」


大地は戸惑いながらそれを受け取る。


「ありがとうございます……でも、俺……こういうの似合わないってよく言われて……」


オオクニヌシの目が、少しだけ細くなった。


「なんじゃ、それは」


低く、しかし穏やかな声。


「花は人を選ばん。選ぶのは人の心じゃ」


大地は、はっとしたように花を見つめる。


「……俺、好きって思っていいんだ」


「もちろんじゃ」


その言葉に、大地の表情がわずかに柔らいだ。


その様子を見て、キラは小さく息をつく。


(……なんだろう)


騒がしくて、どこか不思議で。


でも――


「……なんだか、少し安心しました」


自然と、そんな言葉がこぼれた。


神々はそれぞれ違う。

性格も、価値観も。


それでも、どこか優しくて。


(ミズキ……)


胸の奥に残るざわめきは、まだ消えていない。


(どうか、無事でいて)


キラは静かに拳を握った。

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