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学校怪談は眠らない  作者: カンキリ
明神亜々子に花束を

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24/31

経過報告

5月12日(月)

 土曜、日曜日の記憶が無い。

 別に、ずっと気絶していたとかそんな話では無い。

 金曜日の放課後から、記憶に残るような事を何一つしていない状態だった。

 だから正確には、記憶になることが無かった――だ。

 あの日、松島先生が飛び降りた現場を見て、私は錯乱し、狂ったように喚き散らしてフェンスに勢いよく突き進み、そのまま乗り越えようとしたらしい。

 そんな私を救ってくれたのは後から追いかけてきた三沢さんだった。

 強く抱きしめられ、何事かを耳元で時に大きく、時に囁くようにしてなだめ続けてくれて――。

 気が付いた時、私は屋上の床に身体を投げ出し、大声を上げて泣いていた。

 多分、三沢さんがそうしてくれて無かったら、私は気が狂うか、松島先生を追いかけて飛び降りていた事だろう。

 パトカーや救急車のサイレンが集まってくるのを茫然自失の状態で聞きながら、私は学校に残っていた体育の先生に抱きかかえられ、保険室に連れて行かれた。

 両親が迎えに来て、家に帰ってから現在に至るまで、私には誰も声を掛けてこなかったし、何も要求してこなかった。

 私は2日間、食事をする事も忘れ、昼と夜の無い生活を続けた。

 月曜日の朝になり、母親が部屋に起こしに来て、今日は学校が昼からだという事、全校集会のみの授業ですぐに下校になるらしいので、無理せず休みなさいと言ってくれた。

 まだ、その時の私は、母親の言葉の意味がよく理解できない精神状態だった。

 月曜日の朝が来て、母親に起こされた。

 そんな認識しかしていなかったのだと思う。

 だから、普段のように朝起きて、普段のように着替え、普段のように学校に行く支度を調えた。

 スマホを見ると、何通かのラインが着信していた。

 クラスメイトの5人と黒川さん、三沢さん――そして、杉山さんからだった。

 クラスメイト達のメールは一様にいたわりの短い言葉が並び、月曜日に学校で会おうね的な言葉で締めくくられていた。

 三沢さんのメールは、前記した、あの日の顛末が書かれていて、私はかなり錯乱していたから覚えていないかも知れないが、精神的にはかなり参っているハズなので、しっかり養生するように――というねぎらいで終わっている。

 黒川さん――。

 話が聞きたい。と短い文のみ。

 黒川さんらしいと言えばらしい内容だ。

 そう思うと、思わず微笑んでしまった。

 そして、杉山さんのメールには、あの日、私に送ったラインについてのいきさつが書かれていた。

 杉山さんは、私達と資料室の話をした後から、再びヒトノモリに興味をそそられ、裏サイトを覗くようになっていたのだそうだ。

 過疎ってしまいほとんど動きの無かった裏サイトだが、まったく機能していないわけでは無かった。

 ひょっとしたら、またヒトノモリが現れるかも知れないと思ったのだそうだ。

 もし、ヒトノモリが現れたなら、直接何者なのか聞いてみようとか、思っていたらしい。

 その無謀とも思える行為について、杉山さんは、「私は、にわかだから」と言い訳けしていた。

 そして、金曜日。

 軽い気持ちで裏サイトに入った杉山さんは見たのだ。

 『松島先生は要らない』の書き込みを。

 そこにはすでに『松島先生ハイラナイノ?』と言うヒトノモリからの返信と、『要らない』の文字。

 すでに帰宅してしまっていた杉山さんは、私にラインを送ったというのが、一部始終と言う事だったらしい。

 誰かが、先生の名前を裏サイトに書き込んだ?

 その事実が何よりのショックだった。

 なぜ?

 どうして今?

 私は、意識を取り戻した。

 ヒトノモリをこのままにしてはいけない。

 だめだ、絶対にだめだ。

 私は、三沢さんと黒川さんに、『今日学校に行きます』とラインを入れた。

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