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学校怪談は眠らない  作者: カンキリ
たったひとつの攻めたやりかた

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22/31

杉山report

 次の日の放課後。

 私は杉山さんに呼び出され、彼女の教室に向かっていた。

 『勝てるよ』

 昨日、黒川さんがそう言った後、その場は部長権限で解散することとなった。

 私達は、どうやって戦うつもりなのかを知りたかったし、実際に三沢さんは黒川さんに何度も尋ねたのだが、黒川さんは「大丈夫、私がやるから」と一方的に言うだけで、具体的には何も言わない。

 尚も食い下がろうかとも思ったが、彼女が別れ際に「ヒトノモリが聞いてるかも知れないだろ?」と言ったとき、それも真理だと気づいてさすがにぞっとし、それ以上は聞くことが出来なかった。

 3年3組の教室について中を覗くと、パラパラと帰り支度をしている生徒達の中、杉山さんが自席に座り、前回の様に机に伏せて溶けている。

「杉山先輩!」

 誰かに呼んでもらおうかとも思ったのだが、みんな帰り支度が忙しそうだったので入り口から直接声を掛けてみた。

「おー、眼鏡っ娘(めがねっこ)――」

 杉山さんはムクリと起き上がってそう言うと、私を手招きした。

 眠っていたわけでは無かったようだ。

 だが、そうすると、ひょっとして――。

 私は、教室に入って行き、杉山さんの席の脇に立った。

「そこの席の奴もう帰ったから座んなよ」

 杉山さんが自分の前の席を指さしてそう言ったので、私はその席の椅子を杉山さんの方へ向けて、向かい合って座った。

「いや――、今朝見た夢の中に|CLIPPER・GATEソシャゲハチェット(推し)様が出て来てさー。絶対に新しいドレスが来ると思って課金しすぎちゃってー。暫く戦線離脱だわ――」

 こないだ課金しすぎて泣いてなかったか?この人?

 廃課金種?

 まあ、いいや。

「それで――杉山先輩」

 大体なんの話か見当は付いているが、話を促してみる。

「ああ――」

 杉山さんは一つ息を吐いて話し始めた。

「調べたよ。三沢の噂」

 そう言って笑顔を作る。

 よかった――、悪い話じゃ無さそう。

「結論から言えば、やっぱり三沢は白。突き落としたなんて事実は無い」

「よかった!」

 思わず声に出る。

「去年、白石君と同級生だった二年や、今の三年生。伝のある卒業生にまで手を伸ばして調べてみたんだけどさ、アレは自殺だよ。自分で窓に登った足跡と窓の縁を掴んだ跡があったって話を聞いた奴が何人もいた。ただ――」

「ただ?」

 私が聞き返すと杉山さんが、ふん、と鼻を鳴らした。

「呼び出したのはホントかも知れないんだ」

「えっ?」

「勿論、資料室に呼び出した確証は無い。変な話、呼び出したのかどうかも解らない」

「なんですかそれ?訳がわからない」

 『呼び出した』のがホントかも知れないのに、呼び出したかどうか解らない?

 言ってることが――矛盾してる。

 いや、矛盾と言うより破綻してる。

「手紙だよ」

「え?」

 そういえば白石さんは手紙をもらっていたと深山さんは言っていた。

 そして、それが疑惑の噂に繋がっていたのだった。

「手紙をもらっていたのは事実らしい。靴箱に入ってたんだってさ。白石君が見つけて受け取ったのを見た奴がいる」

 三沢さん、凄く嫌がってたって聞いたから、まさか、ラブレターとは思えないしなあ。

「問題は、何が書いてあったか?なんだけど、それは私が調べた限りでは誰も知らなかった。本人が言うように、ホントに呼び出しだったのか?或は直接最後通告が書かれていたかも知れない」

 手紙にしたのは、ラインも電話番号も知らなかったからだとは思うんだけど。

 イントラのメールだって着拒否してれば繋がんないし。

 でも、好意を持たれてたんだから、ラインの交換は言えばしてもらえるよね。

 メールの着拒否だって解除すれば普通に送れるし。

 一瞬でも繋がりたくない位に嫌いだったのかなぁ。

 そうだったとしたら、三沢さんの意外な性格見た気がする。

「なんで手紙だったと思う?」

 杉山さんが聞いてくる。

 なんでって――。

「誰にも見せないで、語らないでって書けば誰にも情報は流れない」

 杉山さんは上目遣い気味にそう言った。

「話したいことがあります。その時にはこの手紙を持って来て下さいとか書けば――回収できる」

 えっ?それって――。

「証拠隠滅」

 とかねと言って杉山さんが笑った。

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