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学校怪談は眠らない  作者: カンキリ
明神亜々子は七不思議の夢を見るか
2/19

digressionⅠ

「ノック、ノック、ノック」


 深夜、学校のトイレでそんな言葉を呟きながら、個室の扉をコツコツと人差し指で叩く乾いた音が響いた。


「ノック、ノック、ノック」


 尚も3回。

 呟きと共に扉がコンコンと打たれる。


「はーなこさん」


 様子を伺うように少しの間が流れる。


「あっそびましょ――」


 そして、また短い沈黙。


「あれ?」


 首を傾げた人影が揺れる。


「間違えてないよね」


 人影はスマホを立ち上げ、何事かを確認している様だった。


「旧校舎……二階の女子トイレ……奥から三番目の――」


 ぼんやりとスマホの灯りに浮かび上がり呟くのは、整った顔立ちの娘。

 娘は、ダークブラウンのセーラー服を着た学生らしい出で立ちだった。


「ガセネタか?」


 そう言いながらイラついたようにスマホから顔を上げる。

 その時――。


「は~い」


 トイレの入り口の方から、幼い子供の声がした。

 そちらに視線を泳がすと、そこには白いブラウスに赤いスカートを履いたおかっぱ頭の女の子が佇んでいた。


「なんだ……いたんだ」


 セーラー服の娘はそう言いながらスマホをスカートのポケットに仕舞った。

 そして、何も無い空間に向かってノックする手振りをしながら呟いた。


「ノック、ノック、ノック」


 そして間を置いてもう一回。


「ノック」


 赤いスカートの女の子は、無反応のまま見つめている。


「はーなこさん」


 セーラー服の娘が力強くそう叫ぶと、赤いスカートの女の子の顔が驚愕の表情に変わった。


「はーい」


 大勢の子供達の騒がしいまでの返事が返ってくる。

 そして、壁の中から、天井から、鏡から……床から――。



 ぼこぼこと花子さんが湧き出てきた。

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