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あーかい部! 51話 旅

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。



3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!


趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!

同じく1年、青野あさぎ!


面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!


独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河(しろひさすみか)



そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

池図女学院部室棟、あーかい部部室。




「……。」


「……。」




・・・・・・。




「きはだ、遅いね。」


「もう先に始めてるか?」


「だねぇ……。」




ひいろとあさぎが部室でダラダラしていると、2人のスマホが同時にトークアプリPINEの通知を表示した。




「ん?」

「なんだ?」


「……きはだからだ。」


「遅刻の連絡か?なになに……




きはだ:ごめん、部活には行けません。今、保健室にいます




「「いや来いよ!?」」


「なんなんだ?白ちゃんの代理でもやってるのか、きはだは。」




きはだ: 本当は、2人が恋しいけれど……。 でも、今はもう少しだけ行けないふりをします。




「「だから来いよ!?」」




「なるほど、今日はそう来るかぁ……。」




きはだ:というわけで今日は、旅に出たわたしにちなんで旅回です




「勝手に決められたっ!?」


「やりたい放題かよ……。」


「……まあいいけどさ。」


「『旅』なんて漠然とし過ぎじゃないか?」


「『旅』ねぇ……。」




・・・・・・。




「ひいろは、旅への憧れとかある?」


「う〜ん……ワタシが旅に出るなんて、考えたこともなかったな。」


「普通はそうだよね。」


「あさぎはあるのか?」


「最近は毎日考えてる。」


「……『お隣さん』か?」


「うん♪」




あーかい部ができてから、あさぎの住む部屋の隣にモーラさん……白ちゃんの妹が引っ越してきた。その前は世界のいろんなところを旅してた……らしい。


白ちゃんは妹と再会するきっかけになってめでたい限りだが、モーラさんとの邂逅で毎日がより騒々しいものになったことには違いない。




「まあ、退屈はしなさそうだよな。」


「あれ?ひいろはあんまり肯定的じゃないんだ?」


「ワタシは……そうだな。旅先の出会いよりも、今ある縁を大切にしたい。」


「…………ひいろらしいね。」


「ああ♪……あ、でもご当地グルメとか、世界遺産とかに興味がないわけじゃないぞ?」


「旅先での『限定』は魅力的だよね。ゾウムシの幼虫とか日本じゃ食べられないし。」


「あさぎは、食べたいのか……。」


「甘いらしいよ?


「すまない。ワタシの言うグルメに昆虫食は含まれないんだ……。」


「 」


「おい、その信じられないものを見る顔やめろ。あさぎだってゾウムシ食べたことないだろ……!」


「まあ、それは……。」


「まあでも……旅先で知らないお店にフラッと入るヤツはやってみたいな。」


「自分の足で穴場を見つけるのも旅の醍醐味って感じがするよね。」


「ああ。旅先で腹の虫が鳴いて、『腹が、減った、、、』って思ってからの飲食店探しとかはときめくな。」


「文句言っといて、ひいろもグルメじゃん……。」


「ゾウムシと一緒にするなっ!?」


「違うの?炙ったゾウムシとか咀嚼して『ほ〜、いいじゃないかこういうのでいいんだよこういうので』とか言わない?」


「そのリアクションは既知の味覚に対して使うんだよ……。」


「いいじゃんいいじゃん。未知なら未知で、人生のフルコースとか集める旅も乙なもんだと思うよ?」


「美食家にでもなるのか……、ん?」




本日2度目の通知がひいろとあさぎのスマホに届いた。




「またきはだから……なんだろ?」




きはだ:上手に焼けました


きはだ:[画像を送信しました]




きはだが送信した画像には、お皿の上で艶やかな肉汁の汗をかく豚肉の生姜焼きが映し出されていた。




「「思いっきり自宅じゃねえか!?」」







あーかい部!(4)




ひいろ:投稿完了だ


きはだ:楽しかった?


あさぎ:なんで家で生姜焼き焼いてたの


きはだ:たまに猛烈に食べたくなるときあるでしょ〜?


ひいろ:確かにあるけど


あさぎ:自分から旅の話題振っておいて


きはだ:それはうん、まあ……あれだよ

きはだ:『旅もいいけど、おうちのご飯が1番美味しいよね』的な?


あさぎ:聞いてたの?


きはだ:聞いてないけどどうせグルメだろうなぁって


ひいろ:くっ……!


あさぎ:まあひいろがいたらグルメになるよね


ひいろ:先にゾウムシ食べるとか言ったのそっちだろ


きはだ:ゾウムシ読んでくる




白ちゃん:ゾウムシって美味しいの……?


あさぎ:頭と皮の食感にさえ慣れちゃえばココナッツとカスタードの合いの子みたいなもんよ


ひいろ:これはお隣さんだな


白ちゃん:ほんと当たり前のように出てくるわね


あさぎ:愛しの妹モーラちゃんに会えて嬉しいか?おん?


白ちゃん:なんでちょっと喧嘩腰なのよ


あさぎ:ゾウムシの味を疑うから悪いんだよ


ひいろ:モーラさんはゾウムシ好きなんだな


あさぎ:そらもう絶品よ、柏餅の横に並べて売ってたらちょっと迷って柏餅買うくらいには


白ちゃん:柏餅買ってんじゃないわよ


あさぎ:文明を……舐めるなよ!


きはだ:やっぱりおうちが1番


ひいろ:お前が言うなっ!

あさぎ:お前が言うなっ!

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