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duality  作者: eight
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ep5 開戦

ファーランに続く道に向け、防衛陣営をとっている兵たちの前にベイルとオリビア、そしてレックスが立っている。

オリビアが声を上げる。

「皆のもの。ノワルドとデルタニアはかつて交戦したこともある。心地よく思わない者もいるだろう。だが今はそれを忘れて貰いたい。我々には討つべき敵がいる。」

ベイルが引き継ぐ。

「互いの強さは分かっているはずだ。だからこそ、手を取り合えば敵わぬ敵などいない!」

ベイルが演説を続けるなか、オリビアがレックスに耳打ちする。

「柄じゃないかもしれないが、多少仰々しく言ってくれ。」

ベイルが喋り終えるとレックスを紹介した。

「彼はかつて魔王ヤルグを倒した勇者アレンの末裔、レックス・ビルハートだ。」

「おぉ。」と兵たちから声が上がる。


レックスはひと呼吸おいて話し始めた。

「僕の先祖、アレンは魔王を倒した。だがそれは彼一人の力ではない。多くの人の助けや力、そして何よりも全ての人々の平和を願う想いがあったからこそだ!我々も同じ、一人一人の力は小さなものかもしれない。でも皆で力を合わせれば、必ず魔王ガイラックを討ち滅ぼせるはずだ!我々の手で掴もう!勝利を!」

そう言ってレックスは、高らかに拳を突き上げた。

「おぉ~っ!!」と兵たちも拳を掲げる。

「未来を!」オリビアが続き、兵たちも声を上げた。




一刻が過ぎ、一部の者たちが気配に気づいた。

「うむ・・・近いな。」ギザが杖をゆっくりと掲げると数名の魔法使いも続いた。

杖の先から白い光球が現れ、前方の上空へ飛んでいく。

攻撃魔法ではなく、暗がりや洞窟などを照らす為の魔法だ。魔力の高い者が使えば、より広範囲を照らせる。

光球が弾け、光が拡がった瞬間に遠方から走ってくる魔物の影を捉えた。

「第一部隊は盾を構えてぶつかれっ!一匹も通すなっ!!」

オリビアの声が響き渡る。

「第二部隊は第一部隊の援護!越えてきた奴を迎撃しろ!弓矢・魔法部隊は空を飛ぶ奴らを落とせ!味方に当てるなよ!バリスタ4基は射程に入り次第、遠方を狙え!2基ずつ放ち、装填の隙を作るなっ!進めぇ!!」

オリビアとダガルを先導に第一部隊が前進する。オリビアは盾とサーベル。ダガルは両手で持つ大きな槌を手にしている。

バリスタが放たれ、人の腕の程の太さの矢が跳んでいき、数匹の魔物が弾き飛ばされる。

速度を上げた魔物の群れと第一部隊がぶつかり合い、怒号や唸り声が上がる。

「レックス君、行くぞ。壁を越えてきた者を迎撃する。フィーナ君は後方支援と負傷者の手当てを頼む。」

レックスはベイルの言葉に返事をし、所定の位置に着こうとする。

「勇者様。」

レックスが振り向くとフィーナが手をかざす。

暖かな光がレックスを包む、一時的に増強する補助魔法だった。

「ありがとう。」

「気を付けてね。」

「フィーナもね。」



レックスは第二部隊として、第一部隊を乗り越えた数体の魔物を迎撃していた。

オリビア、ダガルがいる右側は問題なく持ちこたえていたが、左側は押されつつあった為、レックスは左側に加勢をしていた。負傷者は出ていたが、人間側の数が多いため確実に魔物の数の減っている。

5投目のバリスタが発射されようとした時、巨大な岩が飛んできて1基のバリスタが潰された。

「なんだ!」

皆が動揺する中、一人の兵が叫ぶ。

「サ、サイクロプスだぁ!」


敵陣の右側にそれは現れた。

3mを超える巨体、一つ目と口元から上方に迫り出した下牙。身体には雑に鎖を巻き付けただけの様な鎧と右手に籠手を着けた魔物。

皆がサイクロプスに注目した時、まさに二つ目の岩を投げた。衝撃音と共に2基目のバリスタが破壊される。

後方で負傷者の有無や残りのバリスタの装填を急がせる声が飛び交う。

弓矢部隊が次々と矢を放つが、その殆んどは鎧に阻まれ、刺さった数本の矢にもビクともしない。次いで発射されたはバリスタは右手の籠手で叩き落とされてしまう。

ギザが杖を構え呪文を唱えると杖先から稲妻が走りサイクロプスに直撃する。

これには呻き声を上げよろけるが、直ぐに態勢を立て直したサイクロプスは激昂し咆哮をあげた。

一部の動揺する兵たちにオリビアは声を上げる。

「奴に安易に近づくな!後退して陣形を立て直せ!」


右側の混乱の中、左側の奥から大きな豹のような魔物に乗った騎士が駆けてくる。

黒を基調に青い線で装飾された甲冑、大きな鳥の嘴のように湾曲したヘルムの側面には羽根の装飾が施されている。八傑衆のバルドスであった。

突進の衝撃に備えて壁の兵たちが盾を構えるが、魔物がぶつかる瞬間にバルドスは魔物から跳び、盾を飛び越える。

着地と同時に剣を引き抜くと突進に耐えている兵たちを背後から切り裂いた。そうして崩れた盾の陣形から魔物達が雪崩のように入り込んでくる。



陣形が崩れたことにより、魔物、人間双方入り雑じる混戦となっていた。

「・・・まずいな。」

砦に張り付いて防衛している魔法部隊の一人が言った。

「いや、物量ではこちらが勝っているから心配ない。今はサイクロプスが優先じゃ、これ以上バリスタを壊されるわけにはいかん。」ギザが言った時に小さな火球がいくつも飛んできた。

陣形が崩れ、敵が接近したことで、砦にも魔法が届き始めたのだ。ギザがマジックシールドを張るがいくつかは砦の壁に当たる。

「きゃあ!」

近くにいたフィーナが思わず屈んだ。

「大丈夫か?」

「は、はい。」

「シールドは張れるか?」

「出来ます。」

「では己と周囲の味方を守るのじゃ。」

ギザが遠距離部隊に指示を出す。

「魔法部隊は砦の防御と敵の魔法の相殺を。弓矢部隊は近接部隊の援護を。バリスタは引き続きサイクロプスを狙うのじゃ。」



サイクロプスに掴まれた一人の兵士が地面に叩きつけられ、声にもならない声を上げる。

オリビアたちは周囲の魔物を倒しながらも徐々に後退を余儀なくされている。

「くそっ!」オリビアは悪態をついたが、叩き落されて地面に刺さったバリスタの矢を見ると、咄嗟に思いつき走り出す。バリスタの矢を踏み台に跳んで、右手の籠手の留め具を狙う。だが、そのまま弾き飛ばされてしまう。

地面に落ちる前にダガルが抱きとめた。

「済まない。」

「いえ、しかしこのままでは・・・せめて頭を下げさせる事が出来れば。」

オリビアは少し思案すると一人の兵を捕まえ耳打ちする。

「急いでギザ殿に伝えて来い。」

言われた兵士が急いで砦へ駆けていく。

「どうするのですか?」

「考えがある・・・数名の兵を集めてくれ。」














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