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duality  作者: eight
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ep34 八傑集ミカゲ

ロイの案内でアルム王の元へ進む一行。

ロイとベイルが前で話しながら進み、残りの3人は後ろについて行く。

城内の装いも他の国とは違う為、レックスとフィーナは物珍しそうに辺りを見ていた。


「それで、先程の女は?」ベイルが問う。

「奴が八傑集のミカゲです。」

「攻め込んできたという事ですか?」

「いえ、正直なところ、奴の行動理念は私にも分かりません。チェミネルを奪われて以降、奴はあそこを根城にしていますが、本格的に侵攻してくることは無く、時折街に狼を連れてやってきては、今日のように妹を挑発していきます。」

「それだけなのですか?」

「はい。街に特に被害も及ぼさないですし、魔王軍でなければ喧嘩友達のような状態で・・・」

「あんな奴と友達なわけないだろっ!」後ろから野次が飛ぶ。

「聞いて分かる通り、妹はあのような性格ですので、いつも挑発に乗って騒ぎが起きてしまう次第です。」

「コラァ!」再び野次が飛んだ。


「奴の実力は?」

「武道家として見れば、充分に強い部類です。基礎能力も高いですが、人間にはない柔軟性や跳躍力を備えています。」

「魔法は?」

「魔法を使用しているところを見たことはありませんが、厄介な能力がありまして。」

「厄介な能力?」

「奴は狼を使役してるのですが、その統率能力が異常に高いのです。下手な軍隊より統率がとれており、たかが狼と油断していると痛手を負います。しかもガイラックの根城からポルガ周辺に、元々生息していた狼もを手懐けていますので、ポルガは事実上、常に敵に包囲されていると言ってもいい。」

「この辺りの森もとなるとかなりの数ですね。」

「軽く百は越えています。以前にもチャミネルを取り戻す動きはあったのですが、ポルガの周りを常に狼が彷徨(うろつ)いている以上、我が軍の規模では城攻めとポルガ防衛に戦力を割くのは難しいところで。」


「だから私が一人であの女をぶっ飛ばしてやればいいんでしょ?」後ろからライムが口を挟む。

「・・・まったく。」ロイは呆れたようにため息をつく。

「兄上は軍の指揮を私に渡して、父上の元で政治を学べば良いのよ。」

「下の者に止められ、宥められる者が軍全体の指揮など取れるわけがなかろう。」

「私だって、元々チャミネルを治めていたのよ。」

「あそこでの雑務は、ほぼハルマンがやっていた事は分かっている。おまえはどうせ修行ばかりしていたのだろう?」

図星だったのかライムが黙りこむ。

「仲がよろしいのですね。」フィーナが言うと、二人同時に「どこが。」と答えた。

フィーナがフフッと笑う。

「我々の隊が到着すれば、両立することも可能でしょう。」

ベイルが話を戻した。

「お手伝い頂けるのは有り難いですが、あの女の言う事も気になります。」

「他の者が動いてるという話ですか?」

「はい。本当にそうであれば、防衛面に於いて、再度考える必要もあるでしょう。チャミネルにしても、わざわざ来いなどと。罠の可能性も視野に入れなくては。」

「オリビア殿も到着したら、一度作戦会議を行った方が良いですね。」

「ですね。見えました。あそこです。」

視線の先には装飾の施された大きな扉があり、前には二人の門番がいた。


一礼する門番にロイが言う。

「ノワルドからの使者だ。アルム王にお目通しを。」

「お待ちしておりました、お入り下さい。アルム王から伝えたい事があるとの事です。」

「アルム王から?」

「はい。」

そう言うと門番は扉を開いた。

中には玉座や装飾の類いは無く、綺麗に磨かれた木目調の床だけがあり、壁には王家の紋章が描かれたタペストリーが掛けられている。

その中央でスキンヘッドに白い髭を生やしたアルム王が座禅を組んでいた。


ロイが紹介する前にアルム王が口を開く。

「ベイル殿、久しいな。」

挨拶をしようとしたベイルを手で制する。

「急を要する言伝てがある。儀礼はよい。」

「私に・・・ですか?」

アルム王は頷く。

「今しがた、ポッソムに着いたそなたらの部隊より早馬があった。コルシュを行く際にムビアナ上空をノワルドの方角へ飛んでいく魔物の群れを見たとのことだ。」

「ノワルドに・・・」レックスが呟く。

「確か、八傑集の一人にグランドムと言う飛行部隊を持つ者がいるはずです。ですが、魔王軍自体に飛行能力の高い魔物は少ないと聞いています。規模はどれほどだったのでしょう?」ベイルが冷静に問いた。

「問題は規模ではない。その中に二頭の(スケイルズ)がいたそうだ。」

(スケイルズ)が!」

アルム王との謁見は、レックス達の心に一抹の不安を残すこととなった。





ノビエ砦西方。

しばしの休憩をとっていた魔導士ギザの元へ兵士が駆けてくる。

「ギザ様、開通致しました。」

「何!それはまことか!」

ギザが駆けつけると、ノワルドとデルタニアを分断していた赤い氷壁に人一人が通れるほどの穴が出来ており、その向こうにはノワルド側から溶かしていた魔導士たちに姿が見えた。

「皆の衆、でかしたぞ。」ギザは兵たちを労った。

「すぐにノワルドへ向かいますか?」

「そうじゃな。一度ローランド王に報告をしておきたい。じゃが、まだ大部隊の移動には不便な大きさじゃ。一部の者は残り、引き続き穴を拡張せよ。ファーランへの伝令も忘れるな。」

指示を出し、ギザがノワルド側へと抜ける。

ノワルド側にいた兵も労い、細かな指示を伝えていると、馬に乗った兵が慌てた様子でやってくる。

兵は穴とギザを見て「開通されたのですか!」と驚いた。

それは丁度良かったと馬の向きを変えた兵が言う。

「ギザ様、お乗り下さい。緊急事態です。」

「緊急事態じゃと?何があった?」

「魔王軍の飛行部隊がメルダーナを越え、ノワルドに進攻してきているとのことです。」

「何じゃと!」ギザは馬に乗り込むと残された兵たちに指示を出す。

「儂は先に行く。穴を広げながら、出来るだけ兵をノワルドに回すよう伝えよ。よいな!」

そうしてギザは王都へと向かった。


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